【野球】広島 衝撃デビューのバティスタ、チーム生え抜きは日本人選手に限らない
巨人が球団ワースト13連敗を喫し、改めて「若手育成」がクローズアップされた。広島を見ると、生え抜きの選手がチームの中心。野手は打線の看板「タナキクマル」、4番の鈴木。さらに高卒10年目の安部は一時首位打者に立つ活躍を見せ、22歳西川もレギュラーをうかがう。投手陣に目を向けても、先発は大黒柱の野村を筆頭に大瀬良、薮田、岡田…、高卒4年目の中村祐も台頭してきた。勝利の方程式を担う今村、中崎も高卒からのたたき上げだ。それは日本人に限らない。広島は外国人選手も育てる。
2日に支配下契約を交わしたバティスタが交流戦で強烈なインパクトを残し、チームに新風を吹き込んだ。1軍昇格した3日に代打で登場し、初打席初本塁打の衝撃デビュー。翌日4日も代打で2戦連発の離れ業。鈴木本部長も「ここまでやるとは思わなかったね」と予想以上の活躍にえびす顔だった。交流戦パ・リーグ主催試合はDH制があり、起用の幅が広がる。札幌-仙台と続いた日本ハム、楽天とのビジター6連戦ではスタメンにも抜てきされ、貴重な経験を積むことができた。
それにしても絶妙のタイミングでの支配下登録だった。決め手は確実性のアップだという。ファーム39試合14本塁打以上に、打率・363が球団の目に留まった。昨季は打率・243、6本塁打だったから成長は明らか。36歳エルドレッドはコンディションに不安があり、現場からも声が上がっていたという。現状は「エルドレッドのバックアップ」(鈴木本部長)という位置づけだ。
さらに驚いたのは、6年という契約期間の長さだ。鈴木本部長は「もちろんこのまま活躍してくれたらいいけれど、1、2年目は1軍とファームを行ったり来たりするかもしれないからね」と話す。ここ最近、デビュー時の勢いに陰りが見えるように、1軍の壁にぶつかることは想定内。それを見越しての契約期間。3年目以降の4年間でバリバリ働いてもらえたらいいというわけだ。それにエルドレッドとの契約期間は来季まで。もちろん、契約延長の可能性もあるが、中長期的な視点から「ポスト エルドレッド」の育成を推し進めてきたのだ。首位を走る広島には明確なビジョンがある。(デイリースポーツ・杉原史恭)