【野球】日本人本塁打トップのT-岡田はなぜ7番なのか
交流戦が終わった。リーグ戦では見られない対戦は新鮮だった。発見だったのは解説者のみなさんのオリックス評だった。テレビ中継の解説を聞いているとセ・リーグを中心に見ている人が総じて疑問に思われていたことがある。それは「なぜ、T-岡田が6番や7番を打っているのか?」だった。アナウンス諸氏も合わせるように「T-岡田は打率3割、本塁打もパ・リーグ日本人トップの16本塁打ですね」と合いの手を入れる。このやりとり、カードが変わるごとに、違う解説者がほぼ必ず口にしていた。
確かに打率・308、16本塁打、32打点はチーム三冠王。数字を見れば4番にこれほどふさわしい選手はいないだろう。
だが、実際に毎日、オリックスの試合を見ていれば違和感はない。4番にはロメロという頼りになる助っ人がいるからだ。それならせめてクリーンアップだろうという声も上がるかもしれない。が、そこは福良監督ならではの選手起用がある。
5月はじめにインタビューを行った際に聞いた。
T-岡田はなぜ4番ではないのか?
「そこはこだわらない。Tの性格上、前にいい打者がいて初めて生きる。去年はほかにいなくなったからいってもらったけど。6番や7番にしたらTの力はまだ出てくると思う」
福良監督の起用法は選手の力だけでなく、性格も重視する。責任感が強く背負ってしまうタイプのT-岡田は4番に起用するよりも下位に置く方がより力を発揮すると見ているのだ。
実際の数字を見てみる。
4番=19試合71打数18安打3本塁打8打点、打率・254、5番=17試合54打数18安打3本塁打7打点、打率・333、 6番=17試合62打数21安打8本塁打14打点、打率・339、7番=11試合37打数12安打2本塁打3打点、打率・324。
開幕から4番はロメロが務めてきたが、4月末に左膝を痛めて離脱。代わってT-岡田が4番に座るようになった。その間の個人成績は下がってしまった。助っ人が復帰して6、7番が増えるようになると、再び成績も上昇気配となった。
振り返ってみれば昨季のパ本塁打王である日本ハム・レアードも6、7番での起用が大半を占めた。
指名打者があるからこそかもしれないが、T-岡田が7番に入っても何の疑問も感じない。(デイリースポーツ・達野淳司)