【相撲】本名大関「高安」のルーツは…先代師匠故鳴戸親方との逸話も

 大相撲名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)の番付が26日に発表され、夏場所で大関昇進を果たした高安(27)=田子ノ浦=が本名のまま、大関に名を刻んだ。本名大関は01年名古屋場所の出島(現大鳴戸親方)以来、16年ぶりの誕生。過去には元横綱の輪島と北尾(双羽黒に改名)の例があるものの、極めて珍しい。

 力士は十両、幕内昇進など番付を上がるにつれ、新たなしこ名を名乗るのが通常。師匠や部屋の伝統、出身地をイメージした改名は相撲の醍醐味の一つでもある。横綱稀勢の里は十両まで本名の萩原、横綱日馬富士は大関昇進時に安馬から改名している。

 高安も十両昇進時に改名を打診された。だが父栄二さん(66)が先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)に「親類一同、高安を使ってもらえばありがたい」と直談判し、本名で通した経緯がある。

 「高安」は大阪に由来があり、今も大阪府八尾市に地名を残す。栄二さんによれば「天智天皇の時代、山城として高安城が築かれた。公家の内部抗争に負けて関東の方まで流れたと、高安家では言われている。大阪には高安駅があるし、高安病院、高安犬という犬もいた」と、1300年以上前から続く武家の一族なのだ。

 高の字は正式には「はしごだか」。先代師匠は「一段一段上っていけばいいと」と温かい目でまな弟子を見守っていた。ちなみに先代の本名は高谷(たかや)。「『す』を付けるだけだったから違和感がなかったのでは」と父は冗談めかし縁を思う。

 横綱になっても高安のままを父は希望する。「そういう風にできればいい。本人が考えるか、後援会か。今のところは多分、そのまま」。高安自身、好きな地方場所を「大阪。高安のルーツは大阪だから」と即答する程、一族の誇りを背負う。1300年前は取り損ねた天下。番付の頂点、「横綱高安」を刻む戦いが暑い名古屋から始まる。(デイリースポーツ・荒木 司)

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