【野球】守備固めでも存在感、40歳・新井貴浩の献身

 不惑を迎えた今季も広島・新井貴浩内野手(40)は圧倒的な存在感を放っている。7月7日・ヤクルト戦(神宮)の七夕の夜。九回2死から代打出場し、小川から逆転3ラン。土壇場で最大6点差をひっくり返す劇的勝利の立役者となった。

 その貢献は打力だけにとどまらない。翌8日の同カードの七回。新井はベンチから飛び出して一塁の守備位置へ走った。試合展開は大量7点リード。丸、、菊池、エルドレッド、松山ら主力がベンチに下がる中、守備固めで途中出場したのだ。昨季は2000安打の金字塔を達成。40歳という年齢を考えても、珍しい起用法だろう。

 翌日、高ヘッドコーチに聞けば「(主力選手は)休められるときは休まさないとね。田中は記録(連続フルイニング)があるから」と説明し、「(一塁を守れる選手は)松山、安部もいるけれど、新井の方がうまい。エルドレッドとの守備力も考えてね」と続けた。新井は阪神時代の08年に一塁手部門でゴールデングラブ賞を獲得するなど、守備の評価も高い。緒方監督が今季「投手を中心とした守り勝つ野球」を掲げて戦う中、新井は守備でもチームに必要な戦力というわけだ。

 新井は日頃から「言われたところで結果を出すだけだよ。そのための準備をしっかりとしたい」と繰り返す。だから試合前から全力だ。週2、3回は午前中のウエートトレーニングを実施。試合前の練習でも汗びっしょりになりながら白球を追う。打球を肘に当てるアクシデントに見舞われたこともあったが、走塁練習でも一切、手を抜かない。遠征先では今年から午前中に公園をウオーキング。唯一の趣味とも言えるサウナでたっぷり汗をかき、水風呂で体を引き締める。40歳の夏も新井は元気いっぱいだ。

 守備から途中出場した翌9日の同戦では、再び九回に代打で2点二塁打。相変わらずの勝負強さで同点とし、熱戦の末、ドローに持ち込んだ。今季はスタメン出場の機会こそ減らしているが、その存在感は唯一無二。石井打撃コーチの「新井はベンチにいてくれるだけでいい」という言葉が信頼の証しだ。史上最速Vへ突っ走るチームを攻守に献身的なベテランが支えている。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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