【芸能】徳島がつないだ縁 蔦監督が日本に届ける映画「リベリアの白い血」
徳島・池田高校野球部の故蔦文也監督の孫で映画監督の蔦哲一朗氏(33)が、西アフリカのリベリアとニューヨークを舞台にした映画の公開に向けて奔走している。
これまでに蔦氏は、高校野球の名伯楽として知られた祖父の素顔を追ったドキュメンタリー映画「蔦監督」(2016年)、自身の故郷、徳島の秘境と言われる祖谷を舞台にした「祖谷物語-おくのひと-」(2013年)などを発表し配給、宣伝活動をしてきたが、今回初めて他の監督作品を配給することになったという。
「日本で公開したいという監督さんの思いがあって、知人を介して僕の方に連絡があり、お会いして配給することが決まりました」
その作品は、ニューヨークを拠点に活動する新進気鋭の監督、福永壮志(たけし)氏(34)の「リベリアの白い血」(8月5日からアップリンク渋谷。全国順次公開予定)。過酷な労働環境のゴム農園で働く1人のリベリア人男性が、自由とよりよい生活を求め、家族を残してニューヨークに渡るという移民の物語で、2015年にはベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品された。
福永氏はカンヌ国際映画祭が実施する若手監督育成プログラムにも選出されるなど欧米で注目を集めており、蔦氏は「34歳とは思えないうまさがあり、日本映画にはないような撮り方。カンヌなどでも認められている監督のデビュー作を扱うことは光栄です」と熱く語る。
不思議な縁があったことも蔦氏を後押しした。作品の一つの舞台であるリベリア部分の撮影を担当した、カメラマンの村上涼氏は、蔦氏と同じ徳島県育ち。将来を嘱望された存在だったが、今作を撮影中の2013年にリベリアで重度のマラリアにかかり、33歳という若さで志半ばにして死去したという。
作中の広大で美しくも、どこかもの悲しい雰囲気を漂わせるリベリアの風景。ゴム農園の木の幹に付けられた傷からにじみ出る白い樹液は鮮烈な印象を残す。
「今年、僕は村上さんと同じ33歳。村上さんの命日と僕の誕生日が同じ(6月29日)ということもあり、何か縁を感じています」と話し、「日本の方が命がけで描きたいと撮った作品。自分も同じ作り手として感銘を受けました。村上さんの想いも含めて日本公開の配給を担当します」と思いを明かした。
今年は今作の配給に比重をかけるという蔦氏だが、自身の作品である「蔦監督」の上映会も続行中で、新作のシナリオも温めている。「江戸末期の時代を舞台にした自然、人間を描けたらと思っています。僕は日本を描いていきたい」。生まれ育った徳島をバックボーンに、日本にこだわり、人間を描くことにこだわる。リベリア、ニューヨーク。遠い異国を舞台にした作品に触発され、蔦氏はあらためて自身の映画へのスタンスを再認識しているようだ。(デイリースポーツ・若林みどり)
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