【スポーツ】日本版メイ対マクレガー!?那須川天心のボクシング戦は可能か

 “世紀の対決”の時が近づいている。ボクシングで史上初の無敗で5階級制覇を達成したフロイド・メイウェザー(40)と世界最高峰の総合格闘技団体UFCで2階級を制覇したコナー・マクレガー(28)が、異種格闘技戦ではなくボクシングで雌雄を決する異色の戦い。両者が初めて顔を合わせた記者会見には1万人以上が詰めかけるなど、米ラスベガスで26日(日本時間27日)に行われる本番を前に、大きな関心を集めている。

 そして日本にも、異色の戦いの夢を抱かせる男が現れた。キックボクシング界の“神童”那須川天心(18)だ。キックで19戦全勝15KOの驚異的な戦績を残し、昨年末から総合格闘技イベントRIZINにも参戦して4連勝と、驚異の“二刀流”を披露している。7月30日のRIZINでは、立ち技格闘技のK-1から総合格闘技に転向した才賀紀左衛門と1回はキック、2回は総合格闘技のミックスルールで対戦し、1回1分36秒にカウンターの左ストレート一発で仕留める見事なKO勝ちを収め、ファンに衝撃を与えた。

 その類いまれなる格闘技のポテンシャルを見せつける神童が、今度はボクシングへの興味を明かしたのだ。才賀戦の後、那須川は今後について「MMA(総合格闘技)も考えていますし、このままキックで行くのも考えていますし、ボクシングも考えたりしています」とコメント。その翌日には、RIZINの榊原信行実行委員長も「天心は本当に才能にあふれている。年末(の大会)はボクシングとかでやっても面白い。天心がもっと世界に届いていくためには、キックにとどまるべきではないと個人的には思っている」との構想を口にした。

 那須川がボクシングに挑戦となれば、相手次第で大きな話題となるだろう。だが、榊原実行委員長が「こんなことを言ったら、ボクシング界が大変なことになるかも知れない」と懸念するように、多くの障害が立ちはだかるのも事実。それでも実現できるのかどうかを考えてみた。

 第一に、日本ボクシングコミッションは現役ボクサーが他の格闘技団体に出場することを禁止している。この規則がある限り、日本の現役ボクサーは、異種格闘技戦だけではなくボクシングルールでもRIZINに出場することはできない。

 となると、相手は引退した選手、現役なら外国の選手に限られる。元世界王者などが相手になれば大きな話題となるのは間違いないだろうが、引退した選手にはコンディションの問題がある。まともな戦いができない状態でリングに上がるなら、お互いの名誉を汚してしまうだけだ。

 そう考えると、しがらみが少ない外国の現役選手の方が実現の可能性は高いだろう。もちろん、その場合も実績、知名度に実力を合わせ持つ選手でないと話題にはならない。いずれにせよ、ボクサー側にとっては勝って当たり前と言えるルールでの戦い。条件によるかも知れないが、受ける者はいるだろうか。ちなみに那須川は、元世界3階級制覇王者の亀田興毅氏が5月に行ったAbema TVの企画「亀田興毅に勝ったら1000万円」の挑戦者に応募したものの落選した。

 あれこれと考えを巡らす中、記者の頭に1人のファイターが浮かんだ。元プロボクサーで現在はK-1で活躍する久保賢司だ。久保は12年にキックからプロボクシングに転向し、デビュー戦で亀田興毅の世界王座に挑戦した経験もあるノルディー・マナカネ(インドネシア)を判定で下すなど4勝2敗1分の成績を残して15年に引退。今年、キック界に復帰すると、4月に行われたK-1のスーパーバンタム級王座決定トーナメントで準優勝した。

 元世界王者のような知名度はないが、ボクシングの実績とK-1トップレベルの実力を合わせ持ち、階級も那須川に近い。2人がボクシングルールで戦えば話題になるのではないかと思い、ボクサー時代の久保のマネジャーを務めた萩森健一氏に話を聞いてみた。「バカげている」などと一蹴される不安も頭をよぎったが、意外にも答えは「久保なら面白いんじゃないですか。オファーがあれば。本人がどう考えるか」と前向き。しかし、「RIZIN、K-1、RISE(那須川のキックの主戦場)の関係がどうなのかが気になりますね」と、3つの団体の折り合いに懸念を示した。

 考えれば考えるほど、一筋縄ではいかないと思われる異色の対決。だが、ありえないと言われていたメイウェザー対マクレガーも実現した。神童のボクシングを見られる日が来ることを信じて待ちたい。(デイリースポーツ・洪 経人)

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