【スポーツ】秋場所の宇良を陸奥、武蔵川両親方が占う 名古屋では日馬富士に涙の金星
大相撲名古屋場所で初めて横綱大関陣と対戦し7勝8敗と負け越した宇良(24)=木瀬=は、次の秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)でどんな活躍を見せてくれるのか。番付は1枚前後下がる程度で上位との対戦もありそう。右膝のけがで現在夏巡業は休んでいるが、秋場所には出場の方向。本紙評論家の陸奥親方(元大関霧島)、武蔵川親方(元横綱武蔵丸)に占ってもらった。
まず、名古屋場所の宇良の相撲を振り返ってみよう。初日の遠藤、2日目の千代翔馬を低く素早い相撲で破り、3日目に輝に押し出されたが、4日目に阿武咲、5日目に栃ノ心を下し、6日目には過去全敗の苦手貴景勝を引き落とした。
中日には初の横綱戦となる白鵬戦が組まれ、結果はすくい投げで完敗したものの、大いに土俵を沸かせた。そしてハイライトは9日目。もうひとりの横綱日馬富士をとったりで破り、初の金星獲得。NHKインタビューから男泣きした。
暗転は10日目の大関高安戦。善戦の末に首投げで敗れた際に右膝を痛め、この一番から5連敗。千秋楽に千代の国をはたき込んで白星で場所を終えたのはよかったが、右膝の状態が気になるところではある。
陸奥親方は秋場所の宇良をこう見ている。
「もちろん、右膝の回復具合によるが」と前置きをした上で「完全に回復した場合、かなりやるんじゃないか。先場所のけがをする前の動きを見ていると、上位でも十分に通用していた。中でも、日馬富士戦では立ち合いが低いことで知られる横綱よりも低く当たり、横綱よりも素早い動きでとったりを決めた。取り組み後、日馬富士が『オレもトシだな』とぼやいたというのもうなづける。終盤戦では相手に動きを見られて中に入れてもらえず敗れていたが、それは膝のけががあったから。万全ならそう簡単にはやられないはず」
武蔵川親方はこう見る。
「宇良は来場所も面白いと思うよ。あの人にとっては低い姿勢で前後左右に動くことが当たり前なんだ。相手も研究はするだろうけど、1場所当たっただけでは、慣れるものじゃない。ああいう動きは今までの相撲になかったんだからね。白鵬だって、油断してかかったら、次はやられるかもしれないよ」
最後に陸奥親方に宇良の課題を挙げてもらった。
「宇良は基本的には前へ出ていく力士だから、出足をもっとつけることが必要。今のままでは正直言って出足は弱い。やはり強く当たってから動くというようにしないと、これ以上強くなるのは難しい。また、素早く動くのはいいが、無理な姿勢にもかかわらず土俵際で粘るのはどうか。お客さんは沸くかもしれないが、けがの原因になる」
秋の両国も宇良の相撲で沸きそうだ。(デイリースポーツ・松本一之)