【野球】ロッテ・二木「第3形態」に進化中 「謎の魚」に負けるな
ロッテの新キャラ「謎の魚」が大きな話題を呼んでいる。アニメで登場の「第1形態」から、足が生えたぬいぐるみ姿の「第2形態」、そして口から骨が飛び出した「第3形態」。今後、どんな活躍をするか楽しみだが、現場にも今季、進化を遂げた投手がいる。
プロ4年目を迎えたロッテ・二木康太投手(22)だ。現在5勝(5敗)。チームの勝ち頭で、開幕からローテの一角を守り続けている。鹿児島情報高出身で2013年度ドラフト6位。甲子園には出場していないが、夏の県大会で母校を初のベスト4に導いている。
公表の身長は187センチ、体重85キロだが、本人は「まだ伸びています。2センチくらい」という。190センチはありそうだ。手足が長く、投手としてはまさに理想的な体形だ。
1年目の14年はファームで過ごし、2年目の15年は1試合に登板した。これが「第1形態」なら、16年に7勝(9敗)を挙げた3年目は「第2形態」だろう。
担当した山森雅文スカウトは「3球団くらいが調査に動いていた」と振り返り、「(当時から)球持ちがよかった。真っすぐ、スライダー、フォークで初球からストライクが取れた」と話す。
元々素質に恵まれていたが、その性格も見逃せない。プロ3年目で7勝となれば、少しは生意気になるところだが、そんな兆候はない。取材には丁寧に応じ、勝った時は中継ぎ陣への感謝の言葉を忘れない。山森スカウトは、「コツコツ努力するタイプで頭の回転も速い。自分のペースをキッチリと守る」と話す。
山森スカウト、二木が勝った時はメールで祝福するそうだが、「ハイ、ありがとうございます」と素直な気持ちを表した返信が必ず届く。
「第3形態」への進化をハッキリと印象付けたのが6日の楽天戦(Koboパーク宮城)だ。126球で完投勝利を挙げたが、最後の打者・ウィーラーを空振り三振に仕留めたのは146キロの速球だった。
昨年は夏場以降に失速。8月以降は1勝しかできなかった。二木はこの反省を踏まえ、「オフのトレーニング方法を工夫した」と話す。徹底した走り込みと肩回りの筋肉の強化、そしてチューブを使った背筋力の向上。これをオフから欠かさずに続けている。126球目の146キロもうなずける。
4年目の今季、いい意味で、“我”を出すようになった。女房役・田村のサインに首を横に振って、失敗したこともあった。これもまた、進化の過程だろう。
山森スカウトは、「(今年は)ボールの質がよくなった。昨年、経験を積ませてもらって、今年は球宴にも出場した。何も言うことはないですね」と温かい目で見守っている。
今後、ロッテの主軸として「第4形態」、さらに「第5形態」への進化が期待できる。
山森スカウトが心配なのはただ一つ。「悪い女にだけが引っ掛からないように」-。(デイリースポーツ・菊地順一)