【スポーツ】レスリングの“清宮世代”須崎優衣の試金石はアノ人

 21日に開幕するレスリングの世界選手権(パリ)で、若手主体となる女子日本代表の最注目は48キロ代表の須崎優衣(東京・安部学院高)だ。男女通じて代表最年少の18歳は東京五輪に向けた次期エースの期待も懸かる。同階級で3連覇中だったリオデジャネイロ五輪金メダリストの登坂絵莉(東新住建)が足の故障で欠場する中、飛躍のチャンスを逃すわけにはいかない。

 野球の清宮幸太郎内野手らと同じ1999年生まれの高校3年生。同い年のアスリートの活躍は刺激になるようで「(清宮に)負けないためにも、今年絶対に金メダルを獲りたい」と闘志を燃やしている。

 そんな須崎にとって今夏、試金石となる相手がロンドン、リオ五輪と2大会連続銀メダルのマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)だ。現在29歳のベテランで、3大会連続で五輪のメダルを獲得するなど実力は折り紙付き。日本協会の栄和人強化本部長(57)は、須崎の今大会の展望として「(世界選手権の)ヤマ場はスタドニクしかいない」と断言。「須崎がここで勝てば、2020年に向けてダダダダっと(勢いにのる)」と占った。

 一方、スタドニクには、日本勢に苦汁を飲まさ続けてきた因縁がある。12年ロンドン五輪では、決勝で小原日登美に破れ2位。昨夏のリオ五輪でも、決勝で登坂絵莉(東新住建)にリードしていながら残り10秒で逆転され、銀メダル止まりだった。その後の表彰式では、自身の銀メダルを早々と外し、登坂の金メダルを恨めしそうににらみつけるシーンが話題となった。

 初の大舞台を直前に控えた須崎は、スタドニクの過去の試合映像を繰り返し研究しているという。「どこに(攻撃の)チャンスがあるかを考えている。相手のいいところを出させないようにしたい」。練習で苦しい時も思い出すのはライバルの顔で、「キツい時はスタドニク選手と戦っていると思って頑張っています」と既に臨戦態勢だ。

 栄強化本部長は、今年の世界選手権を若手のチャレンジ年と位置づけており、「来年以降は本当のトップを代表に選出する」と宣言しているだけに、登坂が不在の間に存在感を示したいところだ。9月には登坂が実戦復帰を予定。公式戦ではまだ対戦がない2人だが、代表合宿ではスパーリングで手を合わせ、一進一退の攻防を繰り広げている。

 須崎は「練習と試合では違うので、(登坂と)試合をしてみないとわからない」と話しつつ、「五輪、世界選手権と日本が勝ち続けている階級なので、自分が引き継ぎたい」と使命感も燃やす。3年後に向けた試金石の夏に出陣する。(藤川資野)

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