【野球】広陵高、親子鷹で日本一へ 中井監督と長男の副部長・惇一さん
今度こそ父子鷹で日本一を。第99回全国高校野球選手権大会で準優勝に輝いた広陵。今大会、中井哲之監督(55)の長男で同校OBの惇一さん(22)が副部長としてノッカーを務めた。
「母校に恩返ししたいと思っています。選手のときに甲子園へ来ることはできませんでしたが、今回広陵として来ることができた。1年目から最高の思いができています」
今年4月に保健体育の常勤講師として採用され就任。野球部の指導にも携わるようになった。1年目から託された試合前の重要な7分間。選手を最高の状態にもっていくために決勝戦まで全力でノックバットを振った。
現役の時には届かなかった夢舞台。主将として臨んだ3年夏の広島大会では、3回戦で高陽東に敗れ幕を閉じた。悔しい気持ちを糧とし、卒業後は中京大で野球を続けながら教員免許状を取得。母校へ帰ってきた。
指導者として尊敬するのは父だ。「親子の縁を切っているので」。物心が付いたときから父は野球の監督であり先生。家の中でも常に敬語で話し、監督や先生と呼ぶ。
中井監督も「息子ではなく、1人の指導者として見ている。自分が伝えようと思っていることを一番分かってくれている存在。子どもたちとも年齢が近く、伝わりやすいこともあると思う」と話す。
指揮官にとっては2007年以来2度目、広陵にとっては4度目となる挑戦でも、つかみとれなかった初の全国制覇。新たな戦いはもう始まっている。大黒柱を中心とした一丸野球で次こそ頂点へと登りきる。(デイリースポーツ・井上慎也)