【芸能】「ルパン三世」監督が語る4Dの効果と未来像 いずれ「AKIRA」も
第2次世界大戦における英国軍の撤退作戦を描いたハリウッド映画の大作「ダンケルク」が9日、日本で公開された。クリストファー・ノーラン監督による映像は「実際に戦場にいるかのようだ」と評判だ。同作は座席が動き、空気や霧の噴射などの演出がある「4DX」でも上映されており、よりリアルな体験が可能となっている。
最新作が最新技術である4Dでより効果的に上映される一方で、39年前の作品が4Dで上映されているのをご存じだろうか。「ルパン三世」シリーズの劇場版第1作「ルパン三世 ルパンVS複製人間」が全国のTOHOシネマズの「MX4D」の劇場で上映されている。
旧作を掘り起こし、最新技術を融合させた形だが、同作の監督で、今回の上映の監修も手がけた吉川惣司氏は「40年前の演出の不満をものすごく救ってくれている。別の要素が加わることで生き生きしてよみがえってくるんですよね」と評価した。当初は「アトラクションなんて余計なことをしないでほしい」とあまり乗り気では無かったという。しかし、映像に合わせて座席が揺れたり、空気圧で顔のそばを銃弾がかすめたような演出が加わると「実際には作品(の中)に参加しちゃうんですよね」と評価は一変していた。
アクションシーンなどでの演出効果が大きいのかと思いきや、評価が高かったのは何でも無いようなシーンだった。「地味で退屈な普通の会話とかね。そこにこういうエフェクトが付いてじゃましてるかというとそうじゃない。逆にコントラストが付いてるおかげで面白くなってる」のだという。
記者も実際に体験したが、旧作の4Dもトライしてみる価値はあると感じた。同席していた関係者は「『AKIRA』を4Dでやってみたい」と夢を膨らませた。超能力バトルとバイクアクションが盛り込まれた「AKIRA」が4Dに、と想像すると確かにワクワクするものがある。洋画は権利関係が複雑そうだが「ベン・ハー」の戦車戦シーンなどはぜひ4Dで見てみたいと思う。
吉川氏は4Dを「家からわざわざ劇場に行く動機の1つ」と説明した。テレビ画面が大型化し、ブルーレイも一般的になってきた現在では、映画を見るだけなら家でもできるが、“体験する”のは映画館でしかできないことだ。
その上で今現在は、映画界が1つの分岐点に来ていると指摘した。「システムが単なるアトラクションとして存在するのか、表現の1つになるのか、今その分かれ目に来てると思う。これまでも、サイレントの時代は『せりふ付けたらぶちこわし』、カラーになると『色を付けるなんて』、ワイドにしたら『集中できない』って言われたりしてたんですが、必ず進化はしてきたんでね」と未来の形にも注目していた。
なお、混同されがちだが、「MX4D」は米「MediaMation」社が開発、一方の「4DX」は韓国の「CJ 4DPLEX」社が開発したシステムだ。
(デイリースポーツ・澤田英延)