【野球】1軍に帰ってきた頼もしい男 カタコト通訳で人気の広島・クレート通訳
頼もしい男が1軍に帰ってきた。「クーちゃん」の愛称で親しまれている、広島のブルペン捕手を兼務するヘンディ・クレート通訳だ。ドミニカ共和国カープアカデミー出身のバティスタが8日から再登録され、それに伴ってのことだ。
今季の“活躍”は、カープファンの間で大きな話題となった。マツダスタジアムでのバティスタのヒーローインタビューでのこと。「100%しっかりします!」。一生懸命なカタコト通訳が大うけし、いきなりスポットライトが当たった。
昨季、スペイン語が母国語のルナが加入したことで1軍に“昇格”したのが始まりだ。だが、元々はブルペン捕手として来日し、今季で11年目を迎えた。来日当初、「日本語は本当に難しかった」という。習得は努力のたまもの。広島市内の専門学校に通い、勉強した。日本人選手とも積極的にコミュニケーションを図った。自身もプロ選手を目指し、ロッキーズのアカデミーを経て、カープアカデミーに入った。その経験を生かして2軍投手の球をブルペンで受け、感じたことを伝えた。成長を促すのも彼の役目だった。
2軍時代に最も印象に残っている投手は、14年限りで引退した左腕・斉藤だという。「一番、真っすぐが良い投手だった。スピンがすごくて、ミットが上がったんだ」と懐かしそうに振り返った。
毎年1月に来日し、11月の秋季キャンプにも参加。そのため1年の大半を日本で過ごす。母国には愛する妻子がいる。さみしい気持ちはもちろんあるが、ほぼ毎日、連絡を取り、明日への活力に変えてきた。
「今年は日本一になりたい。その中でバティやメヒアが活躍してくれればうれしいよ」。チーム一丸でリーグ連覇へ突き進む広島にとって、欠かせない男だ。(デイリースポーツ・市尻達拡)