【スポーツ】レジェンドが宮里藍に贈る言葉 樋口久子氏「女性として幸せになって」

 女子ゴルフの宮里藍(32)=サントリー=が9月17日に終了した米ツアーのエビアンマスターズで現役競技人生を終えた。最終成績は通算1オーバー32位だった。2003年のプロ転向から14年。日本女子ゴルフ界隆盛の礎を築いた宮里の存在とはどんなものだったのか。女子ゴルフ界のレジェンド・樋口久子・日本女子プロゴルフ協会(LPGA)相談役が、感謝の気持ちを込めて、その功績をたたえた。

 -引退が早いという声もあります。

 樋口「私がまず思ったのは、あの若さで思い切りがいいなということですね。アメリカへ行くときも難しいけど、帰ってくるタイミングも難しいもの。早くにアメリカに行って、燃え尽きたという感じなんだろうと思います」

 -燃え尽きたとは?

 「米ツアーで9勝している選手ですから、戦っている以上は期待される。それにこたえられないと、モチベーションを上げるエネルギーもなくなっちゃったんだろうと思います。ダラダラとやっていたくはなかったんでしょうね」

 -樋口さんの場合は一度結婚出産で競技を離れましたが、復帰されました。

 「私はゴルフが好きだから、50歳までやりました。結婚して出産して2年休んで、もう1回やりたいなと思ったんです。やったらやっぱり優勝したいと思って、そこから2勝できた。でも、いい試合を続けられるかというとそうでもない。結婚すると子供中心になりますしね」

 -モチベーション維持の方法は他にはないのですか?

 「自分が試合に出ることによって、スポンサーやギャラリーが喜んでくれるとか、目標を変えれば、まだできると思うけど、彼女はプライドあるし、優勝を目指してモチベーションを上げて試合ができなくなれば、いろいろ考えるところがあったんだと思います」

 -宮里プロの女子ゴルフ界への功績は大きいですね。

 「宮里さんが挙げた功績で、一番うれしかったのは、2001年にLPGAの規則を改革して、アマチュアがツアーで優勝したらプロになれるし、アマチュアのツアー推薦出場試合数を無制限にしたんですけど、それを生かして03年に宮里さんがアマチュアで優勝し、プロになってくれたことです。おかげで女子ゴルフが一気にクローズアップされて、ゴルフを知らない人でも、新聞に取り上げられた宮里さんを見て、ギャラリー動員数も、テレビの視聴率もアップしました。彼女が出てきてくれたことで、規則改正の成果が出たわけです」

 -宮里プロを追いかける選手が出てきたことも大きいですね。

 「宮里さんが出てきたことで、宮里さんを目指す選手が出てきたんですね。宮里さんと同期の横峯(さくら)さん、後輩では諸見里(しのぶ)さん、上田(桃子)さんと続いて、女子プロゴルフが華やかになり、ずっとここまでフォローの風で来ていると見ています。思えば97年に私がLPGA会長になったときは、年間31試合しかなくて、どん底でしたね。トーナメントの改革をしていかなくてはならない。私はアメリカでの経験もありましたら、早速制度改革に取り組んだわけです。宮里さんはアマチュア時代にミヤギテレビ杯で優勝してプロ宣言をし、トーナメントに出てくれました。翌年、地元沖縄の開幕戦、ダイキン・オーキッドレディースに勝ったことも大きなインパクトがありましたね」

 -これからの宮里プロに何を期待しますか?

 「引退後はテレビ解説もあるだろうし、身近なところでは東京オリンピック(で指導者)もある。私個人としては結婚してほしいなと思います。まだ若いんだから子どもを産んでからでも何でもできますよ。まず女性として幸せになってほしいと思います。あれだけのことができた宮里さんなら何でもできると思いますよ」

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