【野球】オリックスのドラ1山岡 逆転新人王はあるか?

 9月も後半を迎えると今季の終わりも見えてくる。リーグ優勝からクライマックスシリーズへと話題は移り、関係ないチームはタイトル争いに目が行くようになる。

 現在4位のオリックスではドラフト1位・山岡泰輔投手の新人王がその一つだ。そういえば、かつて江夏豊氏に「投票でもらえるのはタイトルじゃない」と言われたことを思い出す。新人王はプロ野球記者5年目以上が投票権を持つ。よって、成績ではなく、最後は印象で決まる。

 現在、パの新人王候補といえば西武・源田が筆頭。盗塁、安打数など“球団新”の活字が何度も躍っていた。対する山岡はここまで21試合に先発し、8勝9敗、防御率3・26(19日現在)の成績を残している。ルーキーながら開幕からローテーションを一度も外れることなく、こなしてきた。それだけでもスゴイ。12球団でこれができ投手が何人居るかと言われれば各球団一人か二人くらいしかいないからだ。

 だからこそ取ってもらいたいと思うのだが、本人はそうでもないらしい。

 「興味ないですね。自ら取りに行くものでもないし。源田さんともそんな話をしたことないです。社会人出身なんで成績よりも、大事なこの1試合で打つとか抑えるとか、そこしか興味ないんです。大学は通算何勝とか言うけど社会人は言わないでしょう。都市対抗がすべてなんで。そこで1本が打てれば1年間打てなくてもいいくらいの気持ちなんです」

 一生に一度のチャンスなので取れるなら取ってみたい。こんなセリフは聞いたことがあるが、“興味ない”はなかなか聞かない。そこが山岡の魅力でもある。斜に構えているように見せて、野球への取り組み方は真摯という言葉がピッタリ当てはまる。妥協は一切ない。理論もしっかりしているし、打者や配球の研究も人一倍徹底してやる。だが、野球のその先に付いてくるものには関心を示さない。

 とはいえ、そこは投票だ。1年間頑張った山岡に票が集まってもいいだろう。

 アピールポイントはほかにもある。例えば8月26日の西武戦では12球団新人完封一番乗り。しかも2桁奪三振に無四球のおまけ付き。ルーキーでこれだけの投球をしたのは過去わずかに5人しかいないという快投だった。

 まだある。あと2勝に迫る2桁勝利。球団新人の2桁勝利は1954年・梶本隆夫(20勝)、75年・山口高志(12勝)、91年・長谷川滋利(12勝)、99年・川越英隆(11勝)の4人だけ達成すれば5人目の偉業となる。

 残り3試合と予想される登板。全部勝って逆転新人王なんてドラマをこちらは勝手に期待している。(デイリースポーツ・達野淳司)

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