【野球】いつの日か大輪の花咲くか“掛布遺産” 掛布2軍監督の遺したもの

 今季限りでの退任が決定している阪神・掛布雅之2軍監督(62)の、鳴尾浜球場でのラスト采配が26日に行われた。最後の勇姿を見ようと、集まったファンは約1000人。同球場の収容人数が最大500人なので、入りきれなかった人たちが入場門前で長蛇の列を作っていた。

 2軍監督の退任で、これだけ多くの人が集まるのは極めて異例だ。相手の広島がウエスタン・リーグの優勝がかかっていた試合でもあり、カープファンも来ていた。が、それを差し引いても、掛布人気の高さを目の当たりにした形だ。

 ラスト2試合は甲子園球場に場所を移す。28日の最終戦には何人のファンが集まるだろうか。掛布2軍監督の聖地初采配となった、2016年5月3日のウエスタン・広島戦の観客動員数は1万93人。祝日ということもあっただろうが、すさまじい数字だ。「ファンの目が選手を育てる」という信念を持つ指揮官は「来ていただきたい」と、多くの来場者を待ち望んだ。

 その人気ぶりには、現役時代の活躍もさることながら、指導者としての功績をファンも認めているということだろう。選手の特性を生かすために、大幅な打撃改造はしない。ただ、どんなフォームの選手であっても、「体をレベルに回すこと」は徹底させる。スイングの軸となる部分を身に付けさせてから、細かい修正を加えていくという指導方針だった。

 そんな掛布2軍監督の退任。多くのファンが惜しんでいる。もちろん、指揮官に球団を批判する気持ちは一切ない。自ら2軍監督を続けたいといっても、続けられるものではない。そのことを承知した上で「それはあるな」と、ここで終わってしまうことの残念さを口にした。

 「こう(指導の成果が上がって)きている時だから。悔しいとかそういうことじゃなくて、もう少しで出来上がってくるなというところだから」

 豪快に笑ってそう話す掛布2軍監督の表情には、一点の曇りもない。指導者として、最後まで選手の成長を見届けられなかったことが唯一の後悔だ。それでも、背番号31が残したものは大きい。いつの日か、“掛布遺産”が大輪の花を咲かせるかもしれない。(デイリースポーツ・山本航己)

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