【スポーツ】長洲未来の大いなる挑戦 24歳、トリプルアクセルに挑む

 フィギュアスケート女子で、注目の米国選手がいる。彼女の名は長洲未来。カリフォルニア州出身の24歳で、日本人の両親の元で育ち、もちろん日本語も上手に話す。たま~に日本語が出てこないときもあるのだが、はにかみながら英語で話す、その笑顔もまたかわいらしい。

 彼女は、この9月に出場したUSインターナショナル(モントリオール)で、ショートプログラム、フリーともにトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑んだ。

 どちらも技としての認定はされたが、若干着氷が乱れ、GOE(出来栄え点)はマイナス(SPは1・6点、フリーは0・4点の減点)。国際スケート連盟(ISU)の規定により、GOEマイナスのジャンプは“成功”と呼ばないため、8人目のトリプルアクセルジャンパーとはならなかったが、練習では何度もきれいな着氷を見せており、大きな可能性を感じさせた。

 技の認定に「自信をもらえた」と長洲。14歳で全米女王となり、10年バンクーバー五輪は4位入賞を果たしたものの、その後伸び悩みの時期を経験した。体形の変化にも苦労。ソチ五輪は代表権を逃した。彼女自身も「若い頃は経験がないから緊張も少ない。細い子も多い。大人になって跳べる子は少ないから、もっと意味がある」と話している。

 フィギュアスケート、特に女子選手は、競技の低年齢化が進んでおり、女性らしい体つきへの変化とともに競技成績の下降・早期の引退など、難しい問題とも隣り合わせだ。その中、食事を見直し「野菜は生で食べることが増えた」と長洲。筋力トレーニングも増やしたという。24歳にして競技と上手に付き合っていけるようになってきたようだ。

 身長164センチと決して小柄ではなく、むしろジャンプはダイナミックなイメージが強い彼女。“ベテラン”と呼ばれる年齢で大技を習得したことは、8・30点という基礎点以上に、この競技全体にとっても大きな意味があると思う。

 8月、浅田真央さんが座長を務めるアイスショー「THE ICE」に出演した際には、浅田さんから「これなら跳べるんじゃない?」と背中を押された。「跳べる人は少ないから緊張感はすごいけど“わたしだけ”じゃないから」と長洲。「自分自身に挑戦したいし、彼女のチャレンジを受け取って、堂々といきたい」と誓っている。

 「最後のシーズンではないけど、五輪は最後だと思う」。トリプルアクセルとともに、そう話す決意の1年が幕を開けた。USインターナショナルでは本田真凜(関大高)に敗れ、2位に終わったため「ちょっと悔しい」とこぼしたが「まだ強くなれると思える」と長洲。彼女の挑戦は、細くて軽い、小柄な選手が次々に台頭するフィギュア界に、新たな光をもたらすかもしれない。(デイリースポーツ・國島紗希)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス