【芸能】“ラーメン屋芸人”の新たな転機 HEY!たくちゃん 渋谷で5年続いた情熱とは

 飲食店経営や商品プロデュースなどの副業で成功を収める芸能人は少なくないが、“あごモノマネ”を得意とするお笑いタレント・HEY!たくちゃんも、ラーメン業界で名の知れた存在になりつつある。オーナーを務める東京・渋谷のセンター街のラーメン店「鬼そば藤谷」が、9月末にオープン5周年を迎えた。

 ラーメン店はオープン5年以内に8割近くが廃業するともいわれる中、飲食店激戦区である渋谷で、客足が絶えない人気店となっている。従業員15人を抱えるたくちゃんは、「ギリギリで危ないときは、周りの芸人さんが宣伝して助けてくれました。『渋谷で5年も続いた芸能人の店はない』と言ってもらえてますし、走り続けて踏ん張りたい。意地でも10年続けます」と息巻く。

 芸は身を助ける-、を地で行く形でラーメン店の経営は始まった。もともと芸人としてコンスタントにネタ番組やライブに出演していたが、大ブレークには至らず。芸能界を引退し、地元の北海道に帰ろうかと思い悩んでいた時期に運命の出会いに恵まれた。あごモノマネのレパートリーの1人であった、ラーメン界の巨匠・佐野実さんの講演会を聞き、本人にあいさつ。佐野さんのラーメンに対する情熱に感銘を受けたたくちゃんは、アドバイスを受けてラーメン作りに取り組むことになった。

 2011年にはラーメン店経営志願者の発掘コンテスト「東京ラーメンショー バトプリ選手権」で優勝。手応えと自信を胸に12年9月、31歳で渋谷に店を構えた。今は午前11時半の開店に備えて、朝8時ごろには店に入って、仕込み作業を始める。ランチ後の休憩時間には、打ち合わせなどをこなし、午後10時の閉店時間まで店にいることも多い。店の営業と並行して、新作開発にも取り組み、2週間に1度のペースで期間限定ラーメンを新メニューに加えるという多忙ぶりだ。

 昨年、全国の有名店が参加したコンテスト「大つけ麺博2016」のラーメン部門で優勝したことにより、また新たな転機を迎えた。食品メーカー「寿がきや」から、店の看板メニュー「鬼塩ラーメン」のカップ麺化のオファーを受けた。同社社員と昨年末から試行錯誤を繰り返し、試作段階で所属事務所の先輩・はなわに味見をしてもらい、「おいしいよ。売れればいいよね」と激励された。

 店主として「スープと麺の一体感がバッチリ。かなりの労力を使いました。出せばもうかるとか、名義だけ貸したとかではないので!」と胸を張る自信作は、全国のローソンなどで23日から発売となる。芸能人が経営に関わるラーメン店が、カップ麺として商品化されるのは史上初だという。

 「ツイッターに『お店に行きたいけど遠い』とメッセージをくれてた人にも、食べてもらえるのがうれしい。商品のパッケージに僕の写真も入れてもらえたので、コンビニで見て、『誰だよ、コイツ』と知ってもらえたら。カップ麺を出すことで来てくれる人もいるでしょうし、店もちゃんとしなきゃいけない」

 ラーメン屋と芸人の仕事の比率を、『9・5対0・5』と自虐的に表現し、「ありがたいことに、今でもテレビにたまに出してもらえるので、消えきってはいません!久しぶりにテレビの現場に呼ばれると、ラーメン屋としてキョロキョロする感じも出てしまいます」と苦笑い。今でもラーメンの新メニューと同時に、モノマネの新ネタの“開発”も欠かさない。最近では、トランプ米大統領や「このハゲッー」発言で世間を騒がせた豊田真由子氏を、新たなレパートリーに加えており、まだまだ二足のわらじをはき続ける。(デイリースポーツ・丸尾匠)

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