【スポーツ】ソチの屈辱から4年、女子Wエース盤石 スピードスケートにメダルラッシュの予感

女子500メートルで優勝し歓声に応える小平奈緒=10月21日
2枚

 約3カ月後に迫った平昌冬季五輪で、日本の“看板”となるのはこの競技かもしれない。4年前のソチ五輪で屈辱のメダルゼロに終わったスピードスケートが、メダルラッシュの雰囲気を漂わせている。

 五輪シーズンの開幕戦となった全日本距離別選手権(20~22日・長野)。中でも順調な仕上がりを見せたのは、女子のダブルエースだ。短距離のエース小平奈緒(31)=相沢病院=は、昨季国内外で15戦15勝を記録し、金メダル最有力候補となっている500メートルで37秒25をマークし、いきなり自身の持つ国内最高記録を0秒14、五輪2連覇中の李相花(韓国)の持っていたリンクレコードを0秒35も更新した。

 しかも「まだまだ大事に滑っているし、タイムはもっともっと伸ばせる。ここに満足せずに自分を高めていきたい。まだエンジンが掛かり始めたところだし、1速、2速、3速とアクセルを踏んでいけたら」と、まだまだ“慣らし運転”と言わんばかり。

 見守った男子500メートルの長野五輪金メダリスト・清水宏保氏も「まだ仕上げている途中だと思うけど、次元が違い過ぎた」と絶賛。「(低地リンクでも)36秒台が出てもおかしくない滑りをしてる。まだまだ伸びしろがある」と、舌を巻いた。1000メートルではまさかの転倒失格となったが、無敵の快進撃は今季も終わりそうにない。

 中距離のエース高木美帆(23)=日体大=も、世界オールラウンドで日本女子17年ぶりの銅メダルを獲得した昨季から、さらなる進化を見せつけた。

 小平との対決が注目された1000メートルでは小平が転倒失格に終わり、白黒がはっきりつかない結果となったが、昨年、小平がマークした1分15秒08の国内最高記録を大きく上回り、同種目初優勝。オールラウンダーとしてのポテンシャルを爆発させた。

 スタートには失敗したが「焦らずに落ち着いて滑れた。国内で初めて15秒を切れたのは自信になる」と、さらり。国内最高をマークした1500メートルと、3000メートル、マススタートも制し、4冠を達成。

 ナショナルチームのヨハン・デビットヘッドコーチは「ミホは世界でもスターになれる特別な選手。体力的な数値もすべてにおいて上がっているし、まだまだ上げていける」と、その潜在能力に太鼓判を押す。

 2人の他にも、女子500メートルで37秒台をマークした2位の郷亜里砂、3位の辻麻希、4位の神谷衣理那もメダル圏と言えるタイム。昨季の成績から、バンクーバー五輪で銀メダルを獲得している女子団体追い抜き(チームパシュート)なども十分に表彰台を狙える。

 ソチ五輪から日本スケート連盟はナショナルチーム(NT)を創設し、同五輪で23個のメダルを獲得したオランダからコーチを招へい。NTに身を置かない小平はオランダに武者修行にも出た。それぞれの試行錯誤の成果は、ここにきて着実に実を結びつつある。

 フィギュアスケートと並ぶもう1つの氷の主役競技が、平昌の地で復権を狙う。(デイリースポーツ・大上謙吾)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス