【スポーツ】九州場所 休場明けの上位陣の中で誰がいち早く自分の相撲を取り戻すか

 大相撲九州場所は12日、福岡国際センターで初日を迎える。秋場所は3横綱2大関(白鵬、稀勢の里、鶴竜、高安、照ノ富士)が休場し、唯一出場した横綱の日馬富士が終盤戦で大関豪栄道を逆転して賜杯を抱いた。では、今場所は-。元大関霧島の陸奥親方(本紙評論家)はこう見る。

 「休場すると相撲勘が鈍る。稀勢の里のように休場が3場所連続となればなおさら。相撲は自分の感覚と実際の体の動きにわずかでも狂いが生じると勝てない。黒星が続けば自信を失う。本場所の土俵以外で相撲勘を磨くことができるのは、稽古場しかない。やはり場所前の稽古がどれだけできたかが九州場所の成績を占うカギになるだろう」

 では、先場所休場した主な力士の現状だが、左上腕部付近の負傷で3場所連続で休場した稀勢の里は秋巡業に参加し、番付発表後は弟弟子の高安と三番稽古を行うなど調整はまずまずの様子。ただ患部に対する怖さがあるのか、武器である左のおっつけが稽古でもなかなか見られないという不安は残る。

 左膝の故障で先場所を休場した白鵬は、秋巡業に途中から参加。稀勢の里と白熱した相撲を取るなど元気なところを見せている。過去の実績は申し分ないだけに、復帰へ向けて大きな障害はなさそうだ。

 右足首の故障などで先場所が3場所連続8度目の休場だった鶴竜は、九州場所に進退をかける。秋巡業にも参加し、番付発表後も時津風部屋などに積極的に出稽古を行い、復帰への意欲はなみなみならぬものがある。

 左膝の負傷で先場所6日目から休場した照ノ富士は患部の治療に専念し、秋巡業は終盤に参加しただけ。十分な稽古はできておらず、四股やテッポウ、すり足など基本動作を行う程度。九州場所で10勝すれば大関に復帰できるが、道は険しいと言わざるを得ない。

 この状況の中、一体誰が九州場所の賜杯をつかむのか。陸奥親方はこの場所ならでは楽しみ方があるという。

 「白鵬や稀勢の里のような実力者でも相撲勘が鈍る休場明けは本来の調子ではない。稽古場と本場所は違う。取りこぼしもあるだろうし、自分の相撲に自信が戻らなければ連敗もある。九州場所は序盤から荒れる可能性が十分にある。そんな中で連覇がかかる日馬富士と並んで賜杯レースを引っ張るのは、いち早く相撲勘を取り戻すことに成功した者。それが誰になるか。白鵬なのか、稀勢の里なのか、はたまた鶴竜なのか。九州場所はそういう観点からも楽しめると思う」。さあ、いよいよ2017年納めの場所。今から初日が待ち遠しい。(デイリースポーツ・松本一之)

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