【スポーツ】“薬師寺保栄の秘蔵っ子”“山中慎介の後輩”世界王者を夢見る逸材たち
ボクシングの全日本新人王西軍代表決定戦が12日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で全12階級中9階級(3階級は不戦勝)が行われ、全階級で西軍代表が決定した。各階級の代表は12月23日に東京・後楽園ホールで行われる全日本新人王決定戦に出場する。
衝撃度十分だったのがスーパーフェザー級で2回KO勝ちした森武蔵(17)=薬師寺。最優秀賞に輝いた弱冠17歳のサウスポーは、9月の西日本新人王決勝で敢闘賞を獲得していた木村テミン(グリーンツダ)との無敗対決を左ストレート一閃で制した。16年12月のプロデビューから4戦4勝4KOとし、「1ラウンドからパンチは見えていました。狙ったら当たるかなと思って、ボディーにいくふりをしてストレートにつなげた」と表情一つ変えずに振り返った。
熊本県出身で幼稚園の年長から空手を始め、小学5年からボクシングに転向。11、14年にU-15大会で優勝するなどアマでキャリアを積んだ。知人を通じて元WBC世界バンタム級王者の薬師寺保栄氏と知り合い、15年3月の中学卒業翌日に単身名古屋へ移って薬師寺ジムに入門したという。薬師寺会長の存在について「ジムのボスという感じですが、言いたいことも言えるし、世界の舞台に立っている人なので試合への臨み方など聞かせてもらっています」と話す。
全日本新人王決定戦ではジロリアン陸(フラッシュ赤羽)と拳を交える。手品のパフォーマンスで異彩を放つが、デビュー戦でお笑い芸人ロバート山本に敗れて以降8連続KO中の実力者。注目の対決にも“薬師寺の秘蔵っ子”は「新人王にならないと1回戦負けと一緒。ボクシングを始めた時から目標は世界チャンピオンです。(チャンピオンになるのは)早ければ早いほどいい」と大きな夢を描いた。
ウエルター級では安達陸虎(りくと、19)=井岡弘樹=が2回TKO勝利で技能賞を獲得した。西日本新人王決定戦では最優秀選手賞に輝いた安達は「今日は左で倒せてよかった」と満足そうに笑みを浮かべた。
安達は前WBC世界バンタム級王者の山中慎介(帝拳)と同じ滋賀県湖南市出身で市立日枝中の後輩でもある。チャンピオンベルトを持って母校を訪れた王者に憧れ、高校を中退して単身大阪に出てボクシングを始めた。「今年の目標は全日本新人王。将来は世界チャンピオンになりたい」と偉大な背中を追う。数多くの世界王者を輩出した全日本新人王。未来の世界王者を夢見る逸材たちの戦いに注目したい。(デイリースポーツ・山本直弘)