【サッカー】槙野智章 強い浦和取り戻す ハリルも厳命クラブW杯は覚醒の舞台
日本勢として9年ぶり、クラブとしては10年ぶりにアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制す快挙を成し遂げた浦和は、次の目標を世界に向ける。アジア王者としてクラブW杯(12月6日開幕、UAE)に出場する。
日本代表のハリルホジッチ監督はクラブW杯出場を「W杯本大会に向けて良い準備になる」とエールを送った。その一方で、日程が重なるため国内組で参戦する東アジアE-1選手権(12月9日、東京)への浦和勢の招集が不可能になったことに、「残念だ。彼ら以外で試合に臨まないといけない」と独特の表現で話した。
もちろん「残念」という言葉は、賛辞の裏返し。指揮官自身、浦和のクラブW杯出場を願っていた。浦和DF槙野は決勝を終えて明かしていた。「前回の(代表)合宿が終わるときにハリルホジッチ監督から『東アジア(E-1選手権)には出るな』と言われました。クラブW杯に出てほしいということだった」。世界最高峰の戦いに臨むことに、大きな意味があるからだ。
クラブW杯で、浦和は準々決勝でオセアニア1位のオークランド・シティー(ニュージーランド)対開催国UAEの王者アルジャジーラの勝者と対戦。勝てば準決勝では欧州王者のレアル・マドリードと対戦することが決まっている。
ちなみに、北中米カリブ王者としてFW本田圭佑所属のパチューカ(メキシコ)が出場。浦和とは反対のブロックに入ったが、決勝、3位決定戦、5位決定戦のいずれかで戦う可能性も残す。
浦和は前回ACLを制した07年にも、日本で開催されたクラブW杯に出場。準決勝で欧州王者ACミランに0-1で敗れ3位に入っている。
槙野は「2007年は3位。それを超えないといけない」と言う。標的はレアル・マドリード。くしくも日本代表欧州遠征で対戦したブラジル代表DFマルセロ、MFカゼミロが所属する。再戦を前に「楽しみですね」と武者震いする。
「浦和にきてから、“昔の強い浦和”といろんな人から言われましたけど、“昔は”という言葉に引っかかるものがあった。大きなタイトルを取って少しはイメージが変わることを願っている」。アジア制覇、そして世界に出ることで、強い浦和を体現しつつ、取り戻したい思いもある。
クラブW杯は昨年は日本で開催した。Jリーグのチャンピオンシップで、年間勝ち点トップの浦和を逆転で下した鹿島が開催国枠で出場。決勝進出を果たしレアル・マドリードを追い詰めたことは記憶に新しい。
「鹿島が1つ1つ勝って、たくましくなっていったのをテレビで見た。自分たちも成長していかないといけない。1つでも多く勝ちたいし、レアルとやるときに、チャレンジしたい」。
昨年、世界基準を知った鹿島は今季、Jリーグ連覇に王手をかけている。ハリルホジッチ監督も熱望したクラブW杯出場。そこには、W杯本大会の準備につながるほどの、大きな成長の要素が詰まっている。