【スポーツ】京太郎は世界挑戦できるか 大みそか開催はファイトマネーがネックに…
大みそかの開催が計画されていた日本ヘビー級、東洋太平洋同級、WBOアジア・パシフィック同級王者の藤本京太郎(角海老)の世界挑戦が白紙となった。
WBO世界同級王者ジョセフ・パーカー(豪州)が、次の挑戦者の一人として京太郎の名を挙げた。日本での開催にも乗り気だったが、実現へのカベは厚かった。ネックとなったのは巨額のファイトマネーだ。萩森健一マネジャーは「ヘビー級ですから最低でもワンミリオン(100万ドル=約1億1000万円)は用意しなくてはいけない。テレビ局が特別体制で協力してくれないと難しい」と話した。
K-1から転向した京太郎は、日本ボクシング界にヘビー級を復活させた功労者だ。2013年7月25日、後楽園ホールで行われた日本同級王座決定戦でオケロ・ピーター(緑)に6回TKO勝ちして初王座を獲得。その後、3度の防衛に成功。17年1月14日には東洋太平洋同級王座決定戦を制し、同5月8日にはヘルマン・パーセル(豪州)を9回TKOで下してWBOアジア・パシフィック同級王座も手に入れ「アジア3冠王者」となった。
15年8月には、石田順裕(グリーンツダ)の引退により、京太郎がただ一人の日本ヘビー級ランカーとなったため、日本ボクシングコミッション(JBC)は日本ヘビー級の廃止の検討に入った。12月に行われたルール改正で37歳定年制の一部緩和により、元同級2位の竹原虎辰(緑)がランカーに復帰し存続が決まった経緯がある。
とはいえ、現在も日本王者・京太郎の下には1位で40歳の竹原がいるだけ。過去、京太郎は竹原の挑戦を2度とも退けており、現状のままでは日本同級タイトルに発展は見込めない。京太郎の世界王座挑戦が実現すれは、後進のこの上ない道しるべになるはずだ。
京太郎は「ボクシングを始めて、どうしても世界タイトルのリングに立ちたいと思ってきた。海外でもどこへでも行く。諦めない」と精進を続ける。
一方で「挑戦」という実績を残すだけでは意味がない、という厳しい声があるのも事実。来年、京太郎に吹くのは向かい風か、追い風だろうか。(デイリースポーツ・津舟哲也)