【野球】DバックスへFA移籍の平野、一昨年にもあったメジャー移籍話
オリックスから海外FA権を行使し、ダイヤモンドバックスに入団が決まった平野佳寿投手は京都府内の社会人チームの施設を借りて自主トレを行っている。今後は母校・京産大でも行い、2月からはキャンプインで主のいなくなった大阪市内のオリックス球団施設に場所を移して調整を続ける。守護神の流出は大きな損失であるにもかかわらず、球団は好意的だ。
昨年末にはダイヤモンドバックスへの入団会見をオリックスの球団施設で行い、最後は長村裕之球団本部長が花束を贈呈するというセレモニーまで用意し、送り出した。旧球団から出て行く選手がここまで手厚く送り出される例はあまりない。そこに平野の人柄が表れている。誰からも好かれる性格だ。
歴代の投手コーチは「平野には頭が下がる」と口をそろえる。連投もイニングまたぎもいとわない姿勢。一昨年はセットアッパーで開幕を迎えながら抑えのコーディエが不調となると守護神に配置転換された。それでも不満な顔一つ見せなかった。昨年、WBCに急きょ呼ばれたときもそうだ。1月という直前での招集、メジャー球への対応に苦労してもだ。
後輩から「どうすれば平野さんのように長くプレーできますか」と質問されると「まっすぐだけじゃ無理。オレはフォークがあったから長くやれた。お前なら○○を磨け」と的確な助言を与えた。
文句を言わずに淡々と仕事をこなす姿勢。後輩たちから頼られれば、惜しみなく自らの経験と知識を元にアドバイスを送るよき兄貴分。それが平野という男だ。
もう一つ、まっすぐな性格も魅力の一つだ。一昨年のことだった。平野の元には複数のメジャー球団から非公式に獲得の打診があった。だが、オリックスとの3年契約の2年目。「契約が残っているから」と相手にしなかった。この年、チームは最下位。平野でなければ、3年目の契約を破棄し、好条件のメジャー挑戦という選択もあったかもしれないが、そうはしなかった。
移籍が決まってチームメートからは「本当に寂しい」という声があちこちから聞こえる。球団関係者からは「指導者として戻ってきてほしい」という声もあがる。みんなに愛された平野。メジャーでの活躍を誰もが願っている。(デイリースポーツ・達野淳司)