【芸能】Perfume 紅白での「渋谷とダンス」パフォーマンスひもとく…実景にCG合成
すっかりNHK紅白歌合戦での恒例となったのが、Perfumeによる最新テクノロジーと融合したパフォーマンス。昨年の大みそかには、高層ビルのヘリポートを舞台に渋谷の街中から放出された(ように見える)光の柱とダンスを連動させた。リオ五輪の閉会式でも注目された演出家・MIKIKO氏とデジタルアートの先鋭集団「ライゾマティクス」による仕掛けは、どのようなものだったのか。「街と合体ダンス」の謎をひもとく。
Perfumeは、地上200メートルにある高層ビルの屋上から中継で出演した。
「ライゾマ」による特殊な演出が加わったのは、画面右上に表示されていた「LIVE」の文字が消えてから。ビル上のステージだけでなく、渋谷の街のあちこちからライト(光の柱)が飛び出し、ダンスと連動。背後のビルの窓あかりも、Perfumeの踊りに合わせて動き出した。
最後には遠景となって、中心にあるPerfumeのいるビルへライトが集結。これは歌唱曲「TOKYO GIRL」のMVにもある映像なのだが、それを一発勝負の生放送で表現して見せた。
複数の関係者によると、リアルタイムで街の実景にCGを合成しているという。一端を担った、生放送のカメラと仮想空間の(実際と同じカメラワークでスキャニングし、加工した)カメラを連動させる「ダイナミックVR」は、2016年末の紅白でも使用した技術。さらに複数の技術を組み合わせ、生放送の概念を覆すような演出に仕上げている。
PerfumeとMIKIKO氏、ライゾマによる紅白は、昨年末で6回目。2012年は光る衣装、13年はプロジェクションマッピング、14年はドローン、15年は3DスキャンとARの融合、16年がダイナミックVRと、その時々の最新テクノロジーを生放送で提示してきた。
MIKIKO氏は雑誌「ぴあMUSIC COMPLEX Vol.8」で、「その年に(中略)作りあげて、実験してきたことをお茶の間版に昇華させてやっているのが紅白という感覚でしょうか」と説明している。
実験(と呼ぶにはすさまじい映像なのだが)の1つは、昨年10月28日にNHKで放送された、東京五輪1000日前の記念番組「内村五輪宣言!」。生放送のスタジオでPerfumeと渋谷の街をリアルタイム連動させており、紅白はそれをさらに難易度の高い屋外&空撮へと進化させたものと見られる。
もちろん、師走の極寒の野外で強風に吹かれ、足のすくむような高所でのパフォーマンスを完遂させたPerfumeの3人がいてこその演出だ。MIKIKO氏の言葉に「期待には応えるけど、予想は裏切らなきゃいけない」とあるように、今回もチームPerfumeの魂を具現化した紅白だったと言えるだろう。(デイリースポーツ 古宮正崇)