【野球】闘将・星野仙一を2度退場させた友寄審判長も追悼「グラウンド外では紳士」

 野球界のレジェンド・星野仙一さんが急逝。突然の訃報に、日本中を衝撃が走った。「“燃える男”と言われていましたけど、グラウンドを離れると別人。とても紳士な方だった」。各地で追悼の声が広がる中、こう振り返ったのは、かつて闘将と何度も“バトル”を繰り広げたNPB・友寄正人審判長だ。

 友寄審判長は87年、中日の監督だった星野氏に対してプロ人生で初めて退場を宣告。その翌年の88年にも判定を巡り「ばか野郎」と暴言を浴びせられ、退場処分を下した。また90年5月24日の中日-巨人(ナゴヤ球場)では、大乱闘劇が勃発。鬼の形相で三塁ベンチへ向かう星野氏を止めようとしたのも、球審を務めていた友寄審判長だった。

 審判と監督という間柄で、浅からぬ“因縁”があった両者。それでも、個人的な感情はなかったという。「前日の試合を引きずって、翌日にどうこう言うことはなかった。そういう意味でメリハリの利いている方だった。ご冥福をお祈り申し上げます」。

 勝負の世界をさばく立場として「名前は出せない」と語った別の元審判員も、星野氏の追悼エピソードを寄せた。「審判として暴力は許せなかったが、野球人としては情熱的で尊敬できる方だった。トラブルが起こった試合の翌日も遺恨は残さない。『昨日は昨日。今日は今日でやろうぜ』と。『○○ちゃん、昨日は悪かったね』と謝られたこともありました。ベンチから、たくさんやじられましたけどね」。

 近年はリプレー検証の導入などによって、判定を巡るトラブルも減少。ライバル同士の交流も増え、乱闘劇も少なくなった。「(抗議や乱闘は)星野さんはチームを盛り上げようと、パフォーマンスの側面もあるということは感じていました。一種のプロフェッショナルでしたね。今年からリクエストが導入される。(判定を巡って)お互いの主張をぶつけ合うことがさらに減るという点は、少しさみしい思いもする」。熱く球界を盛り上げ、愛し続けた闘将。その思いと功績は、永久に語り継がれていく。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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