【スポーツ】豊昇龍、叔父譲りの横綱DNA「自分も横綱にいかないとダメ」

 大相撲初場所では新弟子が初土俵を踏む前相撲で“横綱DNA”対決が早くも実現した。18日、“昭和の大横綱”大鵬(故人)の孫で元関脇貴闘力の三男・納谷(17)=埼玉栄高3年、大嶽=と元横綱朝青龍のおい・豊昇龍(18)=本名スガラグチャー・ビャンバスレン、日体大柏高3年、立浪=が2勝同士でプロ初激突。

 幕内並みの注目を浴びた一番は、すくい投げで納谷に軍配が上がったものの、豊昇龍の叔父譲りの身体能力は目を見張った。

 立ち合い、レスリングのタックルのように低空で潜ると、速攻で左上手を取った。「失敗した。相手が突っ張ってくると思い下から潜って前まわしを取ろうと思ったけど、相手が胸から来た」と言うように、圧力をかけられ俵に詰まった。

 この絶対不利の状況から相手の首に腕をまわし、首投げにいった。最後は納谷が祖父譲りのすくい投げを打ち、吹っ飛ばされたが「物言いでは?」と、悔しがった。

 高校時代は2年時の10月、関東新人戦で対戦し豊昇龍が敗れた。「2年ぶりだったから絶対に倒すと」思った気合十分だったが、返り討ち。「悔しい。負けるのは嫌い。次は来場所、序ノ口で当たるかもしれないから、そこで絶対に勝つ」と、雪辱を誓った。

 高校1年からレスリング留学で来日したが、その夏に両国国技館で大相撲を観戦し感激。叔父と同じ道に転向した。まだ相撲を始めて2年半。幼少期より相撲一家に育った納谷に「次は分からない」と言わしめる伸びしろははかりしれない。

 能力はもちろん、憎めない言動、人を引き付ける笑顔も叔父を思わせる。朝稽古は早朝5時半に起きるのがつらいらしく「(寝坊は)これからあるかも」とニッコリ。取組後、上半身裸で通路をウロウロし、怒られるなど、天真らんまんだ。

 師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「気持ちが強い。瞬発力が違う」と絶賛する。まわしの取り方など親方を質問攻めにするなど、積極性も十分。「強くなる子はみんなそう」と目を細める。

 豊昇龍のしこ名は師匠から「豊」、叔父から「龍」をもらった。「青」でなく「昇」を使ったのは師匠の勧め。意味を知り、「めっちゃいい」と決めた。

 21日、新序出世披露は9人の新弟子の中、前列の真ん中でお披露目された。大声援も受け「気持ちよかった。声援がめっちゃ多くてビックリ」と期待の大きさを実感した。叔父には「本当のお相撲さんになったとメールします」と、笑った。

 幕内最高優勝25回を誇る叔父からは「前に出ろ」と助言を受けてきた。「叔父さんは国技館で何度も優勝している。並べるように頑張りたい。自分も横綱にいかないとダメ」と目標は大きい。

 納谷と同期になったのも運命。自身は昨年九州場所デビューのはずが、興行ビザの関係で一場所遅れ。納谷も高校横綱となったため、12月の全日本相撲選手権に出場し九州場所デビューを見送った。

 「一緒とは思わなかった。これからずっと戦う。次は負けない。一番一番取って上に行きたい」。2人の注目の出世競争は番付に名前が載る春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)から始まる。(デイリースポーツ・荒木 司)

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