【野球】阪神、13年ぶりVへ欠かせないベテランの踏ん張り 「執念」に期待
阪神・金本知憲監督(49)が就任して、間もなく3年目のキャンプが幕を開ける。「超変革」のチームスローガンを掲げた1年目は高山俊外野手(24)、北條史也内野手(23)ら若手が台頭。2年目の「挑む」では桑原謙太朗投手(32)、俊介外野手(30)、秋山拓巳投手(26)ら、中堅の域に入る選手が意地を見せた。では今季のスローガン「執念」なら…。優勝に欠かせないのは、ベテランの踏ん張りだと思う。
主将2年目の福留孝介外野手(40)を最年長に、能見篤史投手(38)、藤川球児投手(37)、鳥谷敬内野手(36)、糸井嘉男外野手(36)と続く。“アラフォー世代”はシーズンの活躍と並行して、さまざまな節目の数字、年長記録も注目される。長く第一線で結果を残し、1球、1振りに命を懸け、積み上げてきた勲章。記録達成が、チームの悲願に近づくのも、また確かだ。
「執念…いいですよね。優勝に執念を見せたいです」。今月16日、大阪市内で自主トレを公開した糸井が、今季のスローガンに倣って、強い意気込みを語った。指揮官は福留孝介外野手(40)の3番構想を明言。となれば、糸井は「1番・右翼」が濃厚になる。通算150本塁打まで残り8本。300盗塁まで残り34となっている。
また、盗塁王、首位打者を狙う今季。走塁部門でのタイトル獲得となれば、球界最年長記録を更新する。現在は浜風に打ち勝つために、飛距離アップを狙ってトレーニング中。本塁打量産ならトリプル3も視界に入る。37歳での到達なら50年、38歳で達成した岩本義行(元近鉄監督)以来の年長記録となる。
福留には日米通算500二塁打や、同300本塁打…。藤川には日米通算700試合登板や、同1000投球回などがある。また、鳥谷は現在通算1974試合出場、2015安打。同2010試合出場、2064安打を誇る藤田平氏の球団記録を、更新する可能性が高まっている。
投手部門では能見が通算100勝まで残り2勝。1500奪三振まで、残り112個としている。「個人として戦うのは好きじゃない。記録はあとから付いてくるもの。ただ、長いこと(現役で)やれるというのは、プロにおいてはすごく大事なこと」。左腕自身が記録を追い求めてマウンドに立つことはない。それでも球団の生え抜き投手で、両項目を達成したのは村山実、江夏豊、小山正明の3人。球団史上4人目の偉業を目前に控える。野球は数字でも楽しめるスポーツ。見どころは随所に散らばっている。
しかし、当然のことながら、個人記録を優先させることはない。オフの間、ベテラン選手が率先して、「優勝」という言葉を口にした。13年ぶりのリーグ優勝、33年ぶりの日本一。機運は徐々に高まっている。藤川が言う。「ロサリオという選手も入りましたから。このタイミングで一気にいかないと、と思う。優勝を思っていない選手はいない。何か必要かと言われたら、日々の積み重ね。1日、1日を大事にしたい」。力を付け始めた若手、意地を見せる中堅…。そこにベテランの技と経験が融合すれば、悲願の頂点がハッキリと見えてくる。(デイリースポーツ・田中政行)