【野球】ヤクルトの有望株・広岡にかかる“池山2世”の期待

 遊撃のレギュラー候補として首脳陣の期待も大きいヤクルト・広岡
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 わくわくさせるスケール感がある。猛練習が続くヤクルト浦添キャンプ。第2クール最終日の12日、こん身のスイングで捉えたロングティーのラスト2本は、いずれも特大の放物線でバックスクリーンの上部を揺らした。打球の主は高卒3年目の有望株・広岡大志内野手(20)。「ドスン」と響いた音がメニューの終わりを告げると、客席のファンから拍手が起こった。

 智弁学園では岡本(巨人)の1年後輩。ルーキーイヤーの16年には、現役最終登板のDeNA・三浦大輔からプロ初打席初本塁打の衝撃デビューを飾った。昨季はイースタンリーグ3位の16本塁打をマーク。右打ちの大型遊撃手としてかかる期待は大きい。

 宮本ヘッドコーチは、5日にキャンプを視察した侍ジャパンの稲葉監督に、注目の存在として広岡を推薦した。「長いところを打てる中で大きく振れる。肩が強い。体が強い」と長所を挙げる。ただ、このキャンプでまず目が留まったのは「秋からよくなっていた」という初日のシートノックだったという。

 昨秋キャンプで見た時は、まだまだの段階。三遊間へのノックで、足を使う動きを意識するように指導された。広岡はオフ期間中もその教えを意識した練習を継続していた。進歩の跡が認められ、今キャンプで最初三塁だったノックの守備位置は、3日目には遊撃に変更された。

 宮本ヘッドが買うのはその姿勢だ。「うまくなりたいという気持ちをすごく持っている。ついてくる体力もある」。鍛えれば鍛えるほど響くであろう素材。底なしの向上心が見える選手に対しては、指導者が「何とかしてやりたい」と情熱を大きく傾けるのは自然な流れだろう。

 キャンプでは連日、早出組に名を連ね、打撃と守備を磨いている。石井琢朗打撃コーチから準備の重要性を説かれると、宿舎でもしっかりと体のケアに時間を割く。ストレッチやサプリメントの摂取、15~20分の入浴を毎日欠かさないなど、ハードな練習メニューをケガなく消化するための備えも抜かりない。

 初の対外試合だった15日のハンファ戦では、適時打を含む2安打2盗塁。小川監督も「打ったということだけでなく、練習の意識が出ていた打席が多かった。いいところが出た」と評価した。広岡も「しっかりとした形で振れるように。スイングスピードは速くなっていると思う。1本目(左前打)は練習してきた通り」と成果を実感。「開幕1軍に行けるようにという思いだけ。レギュラーを取る、食らいつくという思い」と当面の目標を掲げる。

 遊撃レギュラーの筆頭候補として、首脳陣の期待は大きい。宮本ヘッドは「レギュラーを取るとなれば、1年間(現状の)好調でないといけない」としながらも「でも、ここで頑張らないとそれもない。キャンプではいいアピールができているのでは」と認めた。

 球団の高卒スラッガーには山田哲人という身近なお手本がいるが、背番号36の遊撃手といえば“ブンブン丸”こと池山隆寛・現楽天2軍監督のイメージが鮮烈だ。183センチ、81キロの恵まれた体格、ドラフト2位指名、右打者、関西出身と、広岡には似通うところも多い。通算304本塁打を放った大先輩のような球界を代表する大型遊撃手へ-。その第一歩を記す飛躍のシーズンが、今年訪れても何ら不思議はない。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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