【野球】広島・新井、大先輩のレジェンド左腕とのひそかな交流
「それ、誰かに聞いてネットで見たよ!」
新井は驚いた表情でそう言った。2月17日のこと。広島の2次キャンプ地・沖縄を訪問した球団OBの江夏豊氏が、リーグ3連覇のキーマンに新井の名前を挙げたのだ。
「お兄ちゃんだな。ボチボチ終わりだろうと楽しみにしている」
黒いサングラスの奥の目は笑っていたが、伝説の左腕は威圧感たっぷりだ。“江夏流”のジョークで笑わせると、続けて「彼の背中を見て育った選手もいっぱいいる。1年でも長くグラウンドに立ってもらいたい。彼の性格からすると、打てなくなったら自分で答えを出すタイプの人間だけど、ケガをしないようにシーズンを送ってほしいな」と一転して今度は愛情たっぷりのメッセージを送った。
日南キャンプ参加中の新井に江夏氏の話題を尋ねた時の反応が冒頭の言葉だ。そして、レジェンド左腕とのこんな「秘話」を明かしてくれた。
「江夏さんは大先輩だから。ちょくちょくメールのやりとりをしている。たまに『おい、メル友!』と。うれしいことに見てくれていて。試合でいいところで打ったら『ナイスバッティング。頑張れ』とメールを頂ける。だから返信まですごく考えるよね(笑)。『いつもありがとうございます、頑張ります』。これはちょっとまずいかなとか(笑)。考えないといけないから、返信にめっちゃ時間がかかる(笑)」
なんと、新井と江夏氏はメル友だという。江夏氏は「個人的にお兄ちゃんのファン」と明かしていたが、どうやら本当のようだ。新井も恐縮しつつ「本当にうれしい。タイガースの時から気にかけてくれていて、よくしてもらって、ありがごうございます」と、大先輩へ感謝のまなざしを向けていた。
プロ20年目を迎えた新井のキャンプも間もなく終了する。「今年はいいんじゃないかな、去年よりいい」とうなずくように仕上がりは上々だ。今年も江夏氏からたくさんお祝いメールが届きそうだ。(デイリースポーツ・杉原史恭)