【野球】侍ジャパン稲葉監督が東京五輪日本代表候補たちに伝えたかったこと
上々の“船出”だった。日本代表は、今月の3日と4日にオーストラリア代表と対戦する「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018」を行った。侍ジャパンの稲葉篤紀監督にとっては、初めて年齢制限がない中でチーム編成をして臨んだ2試合。それを連勝で飾り、優勝した昨年11月のアジアCSを含めると“5戦5勝”。国際大会で勝負強さが際立った。
収穫は、結果だけではない。2020年東京五輪までに日本代表メンバー全員が集結する回数には限りがあるだけに稲葉監督は、今回も若い侍たちと積極的にコミュニケーションを図った。選手では08年北京五輪、09年と13年にWBC日本代表として戦い、昨年はWBC日本代表の打撃コーチを務めるなど国際経験が豊富。自身が肌で感じてきたことを侍たちに伝えた。
4日の試合前には「1(いち)」の重要性を説いた。「投手だったら初球、1イニング目、先頭打者、野手だったら1スイング目、1歩目を大事にしてほしいと」と稲葉監督。
「国際大会は1球で勝敗が変わってくる。シーズン中に意識してやればできる」と力説した。
日の丸を背負って戦うからには、「勝つという意識を持つことが大事」と常々、熱く語ってきた。負けていい試合などない。常に必勝を期す心構えが必要、だという考え方だ。20年東京五輪での金メダル獲得が“最大のミッション”。指揮官としては今回の強化試合だけではなく、今後も日本代表候補の選手たちに、その意識を持ち続けてほしい思いがある。そうした意味でも収穫があった。
「選手の発言を聞いていると、みんな『五輪のため』と言ってくれている。少しずつ、そういう意識をみんな持ってくれているのかなと、少しずつ感じている。すごくいいことだと思う」と手応えをつかんだ様子だった。
その言葉通り、2試合で4番に座った主砲の筒香嘉智外野手(DeNA)は、言った。「オリンピックで金メダルということを目標にやってます」。徐々に浸透しつつある“稲葉イズム”。全ては20年の大舞台で世界の頂点をつかむため。日本代表の将は今後も侍たちが同じ方向を向いて戦うために、自身の考えを伝えていくことになりそうだ。(デイリースポーツ・伊藤玄門)