【野球】開幕投手は栄誉?143分の1?オリックスの場合は…
オリックスの今季開幕投手は西勇輝投手に内定した。順当なら過去6度大役を務め、昨季もチームトップの12勝を挙げているエース金子千尋投手となるが、福良淳一監督はキャンプインから「みんなで開幕投手を取りに来てほしい」と競争で決めるとぶち上げた。
指揮官の思いに応えるように西はキャンプ序盤から力のあるボールを披露。その仕上がりの良さはブルペンでも群を抜いていた。それだけに抜てきに異論はないだろう。ただ、記者はかつての開幕投手のイメージとは捉え方が変わってきているように感じた。
かつて、開幕投手といえば各チームのエースが務めるものだった。指名される方もこの栄誉を意気に感じて特別な試合を迎えた。
チームの顔ともいえる存在がズラリ並ぶ姿は壮観で、いよいよプロ野球が始まるとワクワクしたものだった。
オリックスのOBには阪急時代にプロ野球記録の12年連続開幕投手を務めた大エース、山田久志氏がいる。キャンプで臨時コーチを務めた同氏はこんなことを話していた。
「オレの時はキャンプインの日に監督から“今年も頼むぞ”と言われてヨシッと思ったものだけどね。福良監督は競争させると言っていた。いろいろ考えているんだと思う。いいんじゃないかな」
選手の捉え方も変わってきた。「開幕戦に勝ったからといって5勝分と計算されるわけではない」という意見を聞いたこともある。中6日のローテーションが当たり前となった現在では、カードが変わっても開幕投手同士の対戦となる。当然、簡単に勝てる相手ではない。それよりも相手チームとの相性などデータを元に、勝つ確率の高いローテーションを組むという考え方もある。
オリックスはエース金子を週の頭である火曜日の先発に充てる予定。安定感があり、完投能力のある金子になるべく長いイニングを投げてもらうことでリリーフ陣の負担を少しでも減らし、水曜日以降につぎ込めるようにする。何より高い勝率で初戦を取ることを目指すというわけだ。
これは西、ドラフト1位・田嶋大樹投手(JR東日本)、2年目の山岡泰輔投手、来日6年目を迎えるディクソンと力のある先発投手をそろえられたからこそできる技でもある。
開幕戦はあくまで143試合ある中の1試合なのか、それとも特別な試合なのか-。開幕投手の顔ぶれをみれば各球団さまざまだが、やはり見る側にとっては胸躍る特別な試合だと思う。(デイリースポーツ・達野淳司)
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