【野球】巨人の空気が変わった 開幕3連戦に見た“上原効果”
巨人は阪神との開幕カードを勝ち越し発進した。開幕戦こそ落としたものの、2、3戦目はともに逆転勝利。親子連れが目立った週末の東京ドーム。痛快な試合内容に、詰めかけたG党の留飲を下げた。
この3連戦で、ひとつの球団記録を塗り替えた。3戦合計で13万8274人の観客を動員。開幕シリーズ3連戦としては2005年の実数発表以降では最多記録となった。これまでの記録は2014年で、今年と同じ阪神3連戦で計13万5665人だった。
伝統の一戦だったということや、岡本、吉川尚らが育ち、若返りが図られつつあるチーム状況への期待など複合的な要因が合わさっての数字と言える。その中で最大の要因の一つと言えるのが、10年ぶりに復帰した上原の存在だろう。
3月31日の開幕第2戦。1点リードの八回。登場曲「Sandstorm」が場内に響き、ファンは総立ちに。場内アナウンスがかき消されるほどの大歓声がドームを包んだ。相手を飲み込む圧倒的な声援が選手を後押しし、直後の攻撃で岡本の3ランが生まれた。
3月26日の「燦燦会」総会の席上で、読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏が、その効果の高さに言及していた。「人気の恐ろしさを知ったのは(3月20日の)東京ドームのオープン戦。4万6000人以上の観衆が集まった。オープン戦で4万人以上は巨人軍の実績ですが、4万6000人入ったのは『上原効果』もあったと思います」。元球団オーナーも認めた存在感。期待の高さが数字に直結した。
31日の試合後、「大歓声が武器になるのでは」と問われた高橋監督も「そうだね。特に東京ドームはホームだし、そういったところもある」と話した。上原は「オープン戦でもすごい声援をいただいた」と感謝し「最後まで声援をもらえるように頑張りたい」と決意を新たにした。若手が躍動し、中堅・ベテランが存在感を示し、ファンが熱く燃える。4年ぶりのV奪回へ。昨季とは違う空気を感じた。(デイリースポーツ・野畑圭司)