【野球】広島ドラ2位山口翔「熊工魂」胸に来季の開幕1軍見据える
爽やかな笑顔に充実感がにじんだ。「だいぶ、慣れてきました。きついですけど、楽しいです!」。広島のドラフト2位山口翔投手(18)=熊本工=がプロのスタートを切った。現在は広島県廿日市市にある大野練習場で高卒入団の同期ドラフト5位遠藤や育成の岡林、藤井黎、佐々木らと体力作りに励んでいる。
2月の春季キャンプは無我夢中で駆け抜けた。持ち味は最速151キロの力強い直球だ。ブルペンでは思い切り腕を振り「真っすぐはしっかりアピールできたと思う」と手応えを口にする。
その一方で「投球フォームがバラバラになってしまう」という課題も浮き彫りになった。佐々岡2軍投手コーチからは「突っ込みすぎないように、下半身をしっかり使って体重移動するように」と指摘を受けた。もともと前向きで明るい性格。「いかに自分をレベルアップさせられるか。1つずつクリアしていきたい」と前だけを見据えている。
プロのレベルも体感できた。安部、天谷ら相手に打撃投手を務め「オーラがすごい」と圧倒された。1軍実績十分の打者との対戦は「弱いボールしか投げられなかった」と消化不良に終わったようだが、久々に登板した3月の実戦では実力を発揮。最速146キロ直球で押し込み、打者3人をピシャリと抑えた。
最高のお手本が近くにいる。高卒2年目の高橋昂とアドゥワだ。2人も1年目は山口らと同じように、体力強化に取り組んでいた。昨秋のキャンプで1軍首脳陣に成長した姿を見せると、春季キャンプ、オープン戦でもアピールを継続。それぞれ先発、中継ぎとして開幕を1軍で迎え、プロ初登板を経験した。
「自分もそこを目指しています。まずは追いつけるように、しっかりと頑張りたい」
高校時代もコツコツと努力を積み重ねてきた。投げ込み、走り込み、腹筋を繰り返し、食トレにも挑戦。3年間で球速20キロアップにつなげた。球団からは「沢村賞を目指してほしい」と期待されるほど伸びしろは大きい。小5まで広島で過ごし、旧友たちの声援も励み。グラブに刺しゅうする「熊工魂」を胸に刻んで飛躍を誓う。
(デイリースポーツ・杉原史恭)