ＮＨＫ総合の情報番組「あさイチ」のＭＣが、４月から博多華丸・大吉と近江友里恵アナウンサー（２９）に交代した。放送開始から８年間コンビを組んでいた有働由美子アナウンサー（４９）＝退局＝と井ノ原快彦（４１）からの“バトンタッチ”がどうなるか興味津々だったが、華大のスムーズな番組進行と、近江アナの天然ぶり、予想を超えた“肝の太さ”が番組にピタリとはまっている印象だ。

　有働アナはＮＨＫを去ってしまったが、いずれも“ブラタモ・チルドレン”の近江アナが朝の顔を、桑子真帆アナ（３１）が「ニュースウォッチ９」のキャスターを担当し、夜の顔となっている。

　女子アナに関しては今後も近江、桑子アナを含めた中堅どころの活躍が期待されるが、個人的に今、最も注目しているのが、ラジオ第１放送の「すっぴん！」でアンカーを務めている藤井彩子アナ（４８）だ。

　この番組は２０１２年４月にスタートした。当初から聴いてこられたファンの皆さまには“何をいまさら”だろうが、有働アナが去った今こそ、藤井アナの存在を改めて評価したいと思う。番組は、祝日を除く毎週月曜日から金曜日までの午前８時５分から生放送で約４時間。センバツ高校野球の開催期間中、夏休みは休止となるが、藤井アナは日替わり５人のパーソナリティーと６年間にわたり、掛け合いをしてきた。

　現在のパーソナリティーは、月曜が劇作家で演出家の宮沢章夫氏（６１）、火曜がタレントのユージ（３０）、水曜がロックシンガーのダイアモンド☆ユカイ（５６）、木曜が麒麟の川島明（３９）、金曜が小説家の高橋源一郎氏（６７）という個性豊かな面々。話題はカウンター・カルチャーから、スポーツ、子育てさらには大喜利にまでおよぶ。それを１人で仕切っているのだから、藤井アナの対応力には舌を巻く。

　ご存じの方も多いだろうが、藤井アナと有働アナは年齢的に近いだけではなく、共通項がけっこう多い。出身高校は大阪の公立の名門・北野高校。入局当初は２人ともスポーツ報道の面で注目を浴びており、藤井アナは１９９９年にラジオで甲子園の高校野球をＮＨＫの女子アナとして初めて全国ネットで中継した。有働アナは「サタデー・スポーツ」「サンデー・スポーツ」のキャスターを務めていたのは有名な話だ。

　２人は「あさイチ」でも一時期、共演していた。藤井アナが２０１１年から１年間だけ、同番組のリポーターとして出演。当時は「ゆみちゃん」「あやちゃん」と呼び合っていたように思う。

　有働アナは番組で、自身のこともけっこうネタにしていたが、藤井アナはパーソナリティーに話を振られると、うまく交わして自身の話題には触れない。ここら辺りの違いが面白くて、「あさイチ」のテーマに興味のない日はラジオを聴いている。

　テキパキ・ハキハキ仕切りまくる藤井アナのハスキーボイスと豪快な笑いを一度聴いてみてください。“ブラタモ・チルドレン”のほんわかムードもいいけれど、この年齢ならではのノリは、有働アナがＮＨＫを去った今、藤井アナしかできないような気がする。（デイリースポーツ・木村浩治）