【スポーツ】「新Vリーグ」に1試合4セット、2-2引き分け導入しては
バレーボールのVリーグは来季から「新Vリーグ」に移行する。興行面においてはプロ野球やサッカーJリーグ、バスケットボールB.leagueと同じように、1会場で1試合を行う大会が大幅に増える予定だ。今回は、興行価値を高めるために、レギュラーラウンドは1試合4セット固定とし、セット数4-0での決着、2-2の引き分けを導入することを提案してみたい。
新Vリーグは自治体との連携強化を義務づける「地域密着」と、大会開催権を都道府県バレーボール協会からホームチームに移し、各チームが収益増を目指す「ビジネス化」が2本柱となっている。
1部に相当するV1リーグへの参加チーム数は男子10(今季8)、女子11(同8)に増えた。
プレーオフ出場順位を決めるレギュラーラウンドでは、男子が1節につき3会場を使用し、2会場で1日2試合、1会場で同1試合を行い計5試合を消化する。女子の当初の12チーム参加案では1節につき4会場を使用し、2会場で1日2試合、2会場で同1試合を行い、計6試合を消化するはずだった。
女子は参加チームが11になったことで大会形式が不確定だが、1会場につき1日2試合を行う通例から、1会場につき1日1試合を行う大会が大幅に増えることは間違いないはずだ。
2017-18シーズンのレギュラーラウンドでは、1会場1日1試合の開催が例年より増えたが、全大会に占める割合は男子で25%(48大会中12)、女子で17%(46大会中8)にすぎない。1会場につき1日1試合をホームゲームとして開催することもある来季に向け、各チームはさまざまな企画を検討することになるのだろう。
なお、Vリーグ機構は将来的に、バスケットボールのB.leagueのように完全ホーム&アウェー制を目標に掲げている。
そこで、気になるのがバレーボールの5セットマッチ、3-0で決着がついた場合だ。試合開始から終了までの時間が短すぎるのだ。今季男子の最短試合は1時間9分、女子は1時間7分だった。以下、表にしてみた。
【今季レギュラーラウンド、セット別試合時間】
〈男子 計84試合〉
セット (数) 最短 最長 平均
3-0 (32)1;09 1;35 1;25
3-1 (35)1;38 2;12 1;55
3-2 (17)2;05 2;26 2;17
〈女子 計84試合〉
セット (数) 最短 最長 平均
3-0 (35)1;07 1;44 1;22
3-1 (28)1;43 2;22 1;55
3-2 (21)1;55 2;26 2;15
バスケットボールでは高校や大学の試合は1時間20分程で1試合が終了するが、B.leagueではオフィシャルタイムアウトの増設や、第2、第3クオーター間の休憩を原則20分(学生の試合は10分)にすることで、試合時間は2時間程度になっている。Jリーグなどの例を見ても、スポーツイベントの時間は2時間程がベターなのではないか。少なくとも1時間10分足らずで終わってしまうことは物足りなく感じる。
上の表の通り、第4セットでの決着ならば平均2時間程度になる。また、第2セットまでを“前半”、第3セット以降を“後半”と位置付け、一昔前の国際大会のように第2セット後に10~20分の休憩を設けることはどうだろうか。ファンイベントや物販促進企画を行える時間になるだろう。
問題は順位決定方法だ。3-0から臨む第4セットがある以上、勝率をメインにすることはできない。必然的に勝ち点制となるが、勝ち点の設定は相当難しくなるだろう。
それでも、新Vリーグがビジネス化を重視するならば、興行的には4セット固定案は論外ではないと思っている。何にせよ、競技の活性化に直結する新Vリーグであることを期待したい。(デイリースポーツ・山本鋼平)