【野球】日本ハム・マルティネス 日本を愛するナイスガイが広島遠征で向かった場所

 日本人より、日本人らしい。何人もの外国人選手を見てきたが、日本ハムのニック・マルティネス投手(前レンジャーズ)は本当にナイスガイだ。視野が広く、他人を思いやる言動の数々は、見ているこちら側の心も晴れやかにしてくれる。

 春先のまだ肌寒い風が吹く3月12日。広島とのオープン戦(マツダスタジアム)を翌日に控え、マルティネスは同市内のチーム宿舎で特別な感情を巡らせていた。米国で生まれ育った自分が、日本で野球を仕事にできている-。向かう場所は決まっていた。トンキン、ジェラード通訳と3人で。平和記念公園はすぐ近くにあった。

 1945年8月6日に人類史上初めて原子爆弾が落とされた場所。マルティネスは人々の思いを胸に刻み込みながら、広島の歴史の重みを全身に浸透させた。平和記念資料館、原爆ドーム、平和のモニュメント…。「僕も知っています。すごい悲しい気持ちになりました。みんなも悲しんでいた」。神妙な面持ちで話す新助っ人を見て、人間味を感じた。

 野球を愛し、仲間を愛し、ファンを愛し、そして日本を愛する。「日本人は本当に礼儀正しい。僕はそういうところが好きなんだ」。マウンド上で打球を処理してくれた野手に対し、感謝の気持ちを必ず言葉やしぐさで示す姿が印象的だ。プレーの端々からも背番号27の人となりが分かると思う。スコアブックを付けながら、いつも何か考えさせられる。

 20日・ソフトバンク戦(札幌ドーム)に先発予定の右腕。前回の相手も同じ昨季の王者で、8回完投も3失点で敗れた。「油断できないよ。映像を見て気づいたこともあるので、しっかり準備していきたいです」。先発ローテの中心を担い、ここまで3試合を投げて1勝2敗、防御率1・96。最大の武器は昨季までの同僚・ダルビッシュ(現カブス)から学んだカットファストボールだ。マルティネスは日本一奪還を目指すファイターズのキーマン。人柄がにじむ広い背中に、仲間たちは引き寄せられている。(デイリースポーツ・中野雄太)

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