【野球】左肘手術の広島・床田が描く6月実戦復帰への青写真
昨年7月に受けた左肘手術からの復活を目指す広島・床田寛樹投手(23)が6月の実戦復帰を視界に入れ、順な回復ぶりを示している。ルーキーだった昨季は開幕ローテ入りし、4月12日・巨人戦でプロ初勝利を挙げた。あれから1年、現在はその舞台に戻るため、廿日市市内の大野練習場で汗を流す毎日だ。
4月中旬に50~70メートルのキャッチボールやダッシュなどを行っていた左腕は「今のところはいいかなと思います。ここまで来てみたら早かった」。穏やかな笑みが復帰へ向けて順調な足取りであることをうかがわせる。
1年目の昨季は4月12日にプロ初勝利。だが同19日・DeNA戦で左肘違和感で降板すると、肘の痛みは消えず、7月に「左肘関節内側側副じん帯再建術・尺骨神経剥離術」を受けた。
最初は患部の可動域を戻す運動が主で、ランニング開始も手術から約1カ月半後。そのため体重は故障時の78キロから一時は90キロまで増えたという。それでも春季キャンプで走り込むなどで、83キロまで減量。スタミナも「むしろついたと思う」と充実の表情を浮かべる。
キャッチボール再開は手術から約5カ月後の12月中旬。当初は患部の痛みも伴い「これは治らないんじゃないかと思った」と振り返る。だが地道なトレーニングに励み「今は立ち投げなら(強度)9割ぐらいは投げられている。痛いのは痛いけどじん帯じゃなくて神経がずれたところ。じん帯は問題ないと思う」と話す。
復帰へ向けて着実にステップは踏んでいるものの、「ここで無理したらまたやるというのも多いらしくて」と焦りは禁物だ。はやる気持ちを抑え、細心の注意を払っている。菊地原3軍投手コーチも「いけちゃうなって思うけど、だからこそ慎重に」とくぎを刺す。
復帰への道を歩む中、同期の高橋昂、アドゥワが今季1軍デビューを飾った。ともにプロ初登板となった4日のヤクルト戦を床田はテレビで見ていたという。「うれしいですね、やっぱり。あとは復帰したら負けてられない。特に昂也は同じ左なので。それはありますけど、今は単純にうれしい」。自身は大卒で2人は高卒と年齢は異なるものの、奮闘する姿は励みとなっている。
平地で捕手が座った状態での投球をきっちり経て、ブルペンやシート打撃登板などの段階を踏んでいく。「6月ぐらいには試合に復帰できるかと思ってます。早く復帰したいですね」。
よりたくましくなった姿で、1軍のマウンドに立つ床田を見てみたい。(デイリースポーツ・田中哲)