【野球】楽天・栗原コーチ“鉄人魂”仙台で継承 「全試合出場」こそ選手の使命

 元祖・鉄人から教わったプロとして姿勢を、指導者として若手に伝える責務がある。楽天・栗原健太2軍打撃コーチ(36)は、23日に上行結腸がんで急逝した元広島・衣笠祥雄さん(享年71)の魂を、仙台の地で継承することを誓った。

 かねてから、同コーチは何度も口にしてきた。「プロ野球選手として、結果や、いろんな数字も大事ですけど、全部試合に出ること。まずはそれが第一」。本塁打や打率、打点よりも、最大の勲章に位置づけてきたのは出場試合数だった。自身の現役時代、広島の主砲として07、08、11年と3度フル出場を経験。それを何よりの自負としている。2015年オフに右肘手術から再起をかけ楽天移籍に挑んだときも、その入団会見で最初に掲げた目標は「全試合出場」だった。常にグラウンドに立ち続けること。プロ野球選手として、それが最大の使命であり責任でもある。

 「金本(知憲、現阪神監督)さんも、前田(智徳)さんも、新井(貴浩)さんも…皆さんそうでした。多少のけがをしても出る。カープはそれが当たり前だった。それは衣笠さんが築いてこられたものでしょう」。現役時代の16年間をそうした土壌で過ごした栗原コーチは、試合に出続けることの重みを、常に肌で感じてきた。

 たとえばレギュラー選手にシーズン中、休養日を与えながら戦うスタイルもあるが、「自分が試合に出なかったときに、代わりの誰かが活躍したら、自分の居場所がなくなる。そのくらいの覚悟がいります」と話す。将来を背負う若手選手たちを日々育成する中で、栗原コーチの指導はぶれない。「いつも若い子たちに、言っていますよ。だから全部試合に出られるその体力を、キャンプ、練習でつくる。当然、練習量は多くなりますよ。そして、1年間やっただけではだめ。レギュラーで3年間、全部試合に出て、それで一人前なんです」。出場試合数は、勝利に貢献し、必要とされる選手であることの証でもあるのだ。

 5年ほど前、衣笠さんの現役時代も体のケアを施した広島・福永富雄トレーナーとともに、衣笠さんと食事をともにしたことがあったという。「自分はちょうど右肘を手術した後だったんですが、衣笠さんに打撃のアドバイスも頂きました。試合に出続けることの大切さも、お話しして頂いたのを覚えています」。鉄人のスピリットに直接触れたことは、栗原コーチにとって今も財産となっている。その尊い志を受け継ぎ、次世代の鉄人を輩出することを使命としている。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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