【野球】オリックスの19歳セットアッパーが目指す160キロの夢
オリックスのプロ2年目、山本由伸投手が4月28日のソフトバンク戦(京セラドーム大阪)、2点リードの八回に登板。1回を三者凡退に抑えてプロ初となるホールドを挙げた。高卒2年目。19歳の若き右腕は今季3試合目の登板でセットアッパーにまで昇格した。
大役を担っても反応は初々しい。
「そんなに調子は良くないですけど。まっタレ(まっすぐが垂れる)に相手の打者がビックリしたんじゃないですか。曲がらないカットボールと」
真顔で話す。ジョークを言っているつもりはない。自分の投球を冷静に分析したらそう見えるようだ。
昨季は球団の高卒新人としては23年ぶりとなる勝利を挙げた。勝ち星こそ1勝に終わったが、対戦した当時日本ハムに在籍した大谷翔平が「今年見た投手の中で1番キレていた」と称するなどボールは一級品だ。
今年はさらにスピードアップを目指しフォームを改造してキャンプイン。先発ローテーションを争ったが、残念ながら開幕ローテを手にすることはできなかった。それでも福良淳一監督は「先発でもリリーフでもチームの軸になれる素材」と高く評価していた。
その言葉通り、2軍では先発でまわっていたが、リリーフ転向すると、すぐに1軍昇格。そのまま勝ちパターンに入るという期待の高さだった。
山本の最大の魅力は150キロを軽く超える速球にある。2軍では155キロも記録した。本人は「160キロは出せると思います」と話す。今ではなく近い将来の話だそうだ。そのためにフォームを改造し、体を鍛え上げているという。
「今季は158キロくらいは出ると思うんです。来年か再来年くらいに160キロを出せればと思っています」
未来予想図はくっきり見えている。
ただ速いだけではない。今季2軍では24回を投げ8四死球。昨季は33回2/3でわずかに3四死球の制球力も武器だ。
本人は「ストライクゾーンの四隅を狙うコントロールはないです。ベースの上には投げられるのでそこを狙っているだけです」と話す。
このスタイルが好ましい。コースを狙ってボールになり、カウントを悪くする投手はたくさんいる。細かい制球は持っていないと開き直って、ストライクゾーンとそれ以外に投げ分ける。150キロ超の速球と合わせれば、そのシンプルな投球スタイルは十分に魅力的だ。
投げっぷりの良さと近い将来出すであろう160キロの超速球。この19歳は見たくなる。(デイリースポーツ・達野淳司)