【野球】清宮の上々デビューで改めて思う日本ハムの育成能力の高さ
大物ルーキーが、上々の1軍デビューを飾った。日本ハムのドラフト1位・清宮幸太郎内野手(早実)。初先発初出場の2日・楽天戦(札幌ドーム)から5試合連続安打をマークし、ドラフト制後の高卒新人では史上初の快挙となった。
開幕は2軍。限局性腹膜炎でリハビリをし4月10日・イースタン西武戦で実戦復帰した。「チームが必要なときに(1軍に)呼ぶ」と話してきた日本ハム・栗山監督。清宮が2軍戦15試合に出場し、4本塁打と持ち前のパワーを発揮し始め、状態も上がってきた“絶好”のタイミングで1軍昇格を決めた。
球界の慣例では高卒ルーキーは投手、野手に関わらず2軍でじっくり育て、ある程度プロに慣れる数年後の1軍出場を目指させるケースが多い。
日本ハムで思い出すのが、1年目に怪物ルーキーと騒がれた中田翔だ。新人時代の2008年2月10日の阪神との練習試合。中田は第2打席で早々と130メートルの“プロ1号”をかっ飛ばした。1軍春季キャンプのフリー打撃で度肝を抜くような飛距離の柵越えも放った。その姿に当時、日本ハム担当をしていた記者は「1年目で一体、何本塁打打つんだろう」と胸を躍らせた記憶がある。
現実は、厳しかった。1年目のオープン戦で相手の一線級投手に苦しみ、打撃だけではなく守備力など課題も多かった。当時の日本ハム・梨田監督の「ファームでもまれて、いずれは大きな選手になってほしい」との意向で開幕2軍。その年は2軍暮らしが続き、やっと初めて1軍の公式戦に出場したのは翌年の2009年からだった。
今では周囲が期待した通り日本ハムはもちろん、球界を代表する主砲として君臨する中田翔。1年目の“挫折”が、飛躍のきっかけと言っても過言ではないだろう。中田のケースに限らない。日本ハムは選手の性格面やポテンシャルをしっかりと把握し、その将来像まで見越して“育成”しているのだと感じる。“二刀流”の大谷(現米大リーグ・エンゼルス)を13年のルーキーイヤーから起用して大成させた。日本球界で最強の投手の一人、ダルビッシュ(現同・カブス)を育てた実績もある。
高卒ルーキーの育成に関しても、かねて定評があった日本ハム。そんな球団が、将来も見越して1軍に昇格させ、清宮もその期待に応えた。大物新人のプロ生活はスタートしたばかりだが今後の進化と成長、そして打棒爆発が楽しみだ。(デイリースポーツ・伊藤玄門)