【スポーツ】ボクシング発展のため、プロアマ協力で金の卵育成を

 日本プロボクシング協会(JPBA)は今月8日、ジュニア育成のために昨年まで10年間開催したU-15(15歳以下)大会に代わり、ジュニア・チャンピオンリーグを新設することを発表した。小学1年~3年、18歳以下など4カテゴリーで実施し、各地区で予選を行い、10月7日に東京で全国大会を開催する。

 この大会設立には、ボクシング界が抱えるプロとアマチュアの関係が影を落としている。昨年4月にアマを統括する日本ボクシング連盟は、U-15などプロ団体が関わる大会に参加した選手のアマ登録を認めない可能性などを告知した。つまり、五輪などアマでの活躍を目指すジュニアは、日本ボクシング連盟が主催する大会のアンダージュニアに道が一本化された形だ。JPBAと日本ボクシングコミッション(JBC)は、過去のU-15の出場者が今年以降のアマ活動に支障がないことを確認し、昨年で同大会を終了していた。

 JPBAの森岡和則キッズ・ジュニア委員長は「将来プロ、アマの両方を考えている子にはアンダージュニアへの出場を促している」と説明。それでも、過去のU-15出場者の約40%が直接プロとして世界王者を目指したいという意向があったため「プロの世界でチャンピオンを目指す子どもへの受け皿になれば」と大会新設の動きとなった。「キッズには国際大会がないので、将来的には海外対抗戦などもできれば」と独自の路線を模索する。

 JPBAは、新大会の参加選手に五輪や高校総体に出場できない可能性があることを説明する予定だ。しかし、同委員長は「小学1、2年生の子が決めることで、やっぱりインターハイに出たいと気持ちが変わることもある。その時にはまた協議が必要だろう」と懸案も残っている。

 JPBAがU-15大会を立ち上げたことは、当時のボクシング界では画期的だった。どちらかと言うと近寄りがたかったボクシングジムに、放課後の習い事として通う子どもたちが増えた。早くから基礎を学ぶ機会が増え、アマで活躍してプロへというルートが主流となった。前WBOスーパーフライ級王者の井上尚弥(大橋)はこの大会の第1回優勝者だ。

 元4団体制覇王者の高山勝成(名古屋産大)のアマ登録申請を拒否しているように、アマ側は歴史的にプロと一線を画してきた。しかし、ジュニア大会についてのアマ側の対応は、単なるプロアマの壁より競技人口低下への危機感が垣間見える。2023年から国体での開催が隔年実施となることも無関係ではないだろう。

 競技を始める小学生の段階で将来プロかアマかを決めることは難しい。このままでは入り口を狭めることになりかねない。底辺拡大には、プロとアマで協力して金の卵を育てることが必須だ。

 既存のアンダージュニアと新設されるジュニア・チャンピオンリーグの王者同士で日本一を決める。そんな形で盛りあげ、競技人口の増加を目指すことはできないだろうか。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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