【野球】中日・松坂が歩む次のステップ

 その名前を出した瞬間、中日・森繁和監督(63)の表情が緩んだ。ここまで4試合に登板。4月30日のDeNA戦で日本球界復帰後初勝利を挙げるなど、ここまで1勝3敗、防御率3・54と奮闘している松坂大輔投手(37)のことだ。

 「まあ、こんなもんじゃないか。昔のような剛速球を投げられるわけじゃないんだから。でもその分、昔は投げてなかった球もずいぶん投げてるだろ」

 確かに海を渡る前の松坂といえば、150キロ超の速球と鋭く曲がるスライダーが“2大看板”だった。しかし、ここまでの投球内容を見ていると、スピードを補うため、チェンジアップ、カットボール、カーブ、ツーシームなど、ストライクゾーンの高低と左右を最大限に有効利用するための球種を投げ分け、打者を封じようとしている。

 ただ、森監督が不満を覚えている部分もある。「とにかく先頭打者を出すことが多いんだよな。それが点につながってるケースも多いし。初球からブンブン振ってくるバッターなら楽だけど、ここまでの各チームを見ていると、どうも『ボールを見ていこう』というチームが多いのも、少し苦労している理由かもな」と各イニングの先頭打者を抑えられるか否かが今後、白星を積み重ねられる条件になると見ている。

 ならば、先頭打者の出塁を防ぐカギはどこにあるのか…。

 「変化球のコントロールだろうな。今はまだ自分の思ってるところにコントロールできてない。ボール半分ぐらいの出し入れ。その感覚を取り戻せたら、有利に試合を運べるようになる」

 ここまで20回1/3を投げて、19安打、16四死球。1試合平均に換算すると、約7個という四死球を減らすこと。その数字を下げていくことが、自分を助けることになる。

 次回登板は今季初の中6日登板となる20日の阪神戦(ナゴヤドーム)。「ボールの質が極端に上がることはないだろうけど、こうやって週に1回投げていくことによって、また違ったキレが出てくる可能性はある。そういう伸びしろは、まだあると思ってる」と森監督は続けた。

 近年、空席の目立つナゴヤドームだが、松坂登板日には空席の割合が格段に減る。「球場全体で松坂を勝たせてやろうという雰囲気を作ってくれるんだよ」。最近では珍しくなった、名前で客が呼べる選手。松坂ブランド。商品価値は天下一品。本業の投球では、かつての輝きを取り戻そうと、チャレンジし続けている。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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