【サッカー】ジーコ氏の金言、日本進化のカギは「12歳から16歳の強化」
25周年を迎えたJリーグが都内で行ったワークショップ「Jリーグをつかおう」に、草創期に鹿島でプレーし、のちに日本代表監督も務めたジーコ氏(65)が来日、出席した。Jリーグの村井満チェアマン(58)と並んで取材を受ける中で、日本サッカー界にいくつかのアドバイスを送った。その中に、将来の日本代表に向けての提言があった。
「日本のサッカーをさらに進歩させるには12歳から16歳のカテゴリーの強化がものすごく必要。そこでいいものを得た子どもたちは、必ず未来にいい仕事をしてくれる。そこのところをJリーグのチェアマンにもご協力していただいて、やっていただきたい」。
間近に迫ったW杯ロシア大会に出場する日本代表には、メンタル面の強化をテーマとして掲げた。そして、その目はすでに次世代以降にも向けられていた。
「日本はW杯に連続出場している。以前だったら、考えられないことだった。これを継続、さらには進化させるためにには、子どもたちの次の世代がどんどん出てくることがいちばん大切。彼らの持っている情熱がまた次の世代の進化を呼ぶ。そこのところをやってほしい」
ジーコ氏に懇願された村井チェアマンも同様の課題を感じていた。「そこ(12から16歳)が勝負所になってきていると思います。前回のW杯で、開催国ブラジルにドイツが7点ぶちこんで、決勝はゲッツェがファイナルゴールを、22歳の彼があの大舞台で決めた」と切り出した。例に挙げたのはドイツ代表MFマリオ・ゲッツェ(ドルトムント)。9歳でドルトムントの下部組織入り。19歳でトップチームデビュー。そしてW杯での活躍へとキャリアを重ねた。
「そのプロセスを調べていくと、9歳の時にドルトムントに入る。ちょうど01年。00年のユーロ(欧州選手権)で、ドイツが予選で1勝もできずに終わったあと、育成大改革をして、9歳のゲッツェがやってきた。あの年代でしっかり基礎を教えて、育成していくことが世界の潮流」。
ドイツは惨敗した欧州選手権から14年後にW杯制覇を果たす。“育成大改革”をモデルケースにする思いが村井チェアマンの中にあった。「すごく大事なテーマになるJリーグのフットボールビジョンはW杯のあとのタイミングで発表しようと思っている。中心テーマは育成になります」と結んだ。
ジーコ氏は言う。「(来日した)91年ごろは都内に住んでいたが、河川敷は全部野球のグラウンドだった。(日本代表監督を終えて)06年に日本を去るときに同じ場所を見ると、ほとんどがサッカー場になっていた。その間に何かできたんだなと誇りに思っている」。
日本サッカー界に送るまなざしは、いつまでも熱い。「18歳になって完成されている、世界で戦える選手がほしいですね」。若くして世界の大舞台で活躍する日本人選手の台頭を、心から期待していた。