【スポーツ】悪質タックル問題 日大 打ち続ける“悪手” 大学として守るべきは誰なのか…

 今月6日のアメリカンフットボールの定期戦で、日大選手の悪質な反則行為によって関学大選手が負傷した問題。タックルの動画がSNSやメディアで広まり、大きな社会問題となっているが、一向に収束する気配はない。問題を長期化させている要因は、間違いなく日大の対応にある。後手後手を打ち続け、おまけにそのすべては火に油を注ぐ“悪手”となっている。

 謝罪文を載せているのはアメフット部のホームページだけ。関学側が2度、反則行為を行った当該選手も会見を行ったが、23日にようやく内田正人前監督と井上奨コーチが会見するまで、内田前監督が関学に出向いた際の空港で対応した以外、大学として正式な対応を行ってこなかった。ほとんど自発的に問題を解決するような動きはなく、関学が1度目の記者会見で説明を求めて、回答を提出。2度目の会見で責任者の謝罪を求められると、ようやく内田監督自らが関学側に出向いた。しかも、自校の学内調査が終わっていないにも関わらず、関学が2度目の会見を行う前日に、広報が監督の指示について「あり得ない」と発言。当該選手の会見後にも「誤解」と広報レベルで否定し、反感を買った。

 23日の内田前監督と井上コーチの会見の案内が届いたのは、開始のわずか1時間前。さらに司会をした広報部の男性は、報道陣と言い争いを繰り広げ、「日大のブランドをあなたが落としてますよ」という声に「落ちません」と怒り、「皆さん見ていますよ」と言われても「見ていても見てなくてもいい」と高圧的に言い放った。世間の反発を招き続ける対応は、ネット上では“日大劇場”とやゆされている。

 日大側に世間の声がまったく届いていないわけではない。関学に出向いた内田監督は、謝罪の場にそぐわないピンクのネクタイを着用。さらに伊丹空港での取材対応では長年のライバルであるはずの「かんせい学院大学」を、「かんさい学院大学」と呼んでしまい、ネット上で一気に批判を浴びたが、2時間後の羽田空港ではネクタイは外され、読み方も正しいものに変わっていた。

 日大の大学ホームページ(HP)では、現時点でこの件については一切触れられていない。ただ、この間、HPに2つだけ変化があった。批判が強まってきた13日にそれまでトップページの最初に出てきたアメフット部の甲子園ボウル制覇をたたえるバナーを消去すると、17日になり、各所でその存在が皮肉られ始めた危機管理学部、スポーツ科学部の大きなバナーを消去した。23日になると、プロ野球・巨人のスポンサー活動を自粛。数少ない能動的な動きを見ると、大学のメンツと、内田常務理事を守ることの2つだけが、行動原理となっているように見える。

 反則を犯した当該選手が、学内ではなく、学外で1人、名前も顔もさらして会見した意味を、大学側は重く受け止めなければならない。20日の羽田空港での内田前監督の取材対応で、常務理事などの学内役職の辞任について問われた時、日大関係者が「それは関係ない」と、助け船を出したという。その頃、東京都世田谷区の日大アメフット部の練習場や中野区の学生寮には多くの報道陣が選手たちのコメントを求めて集まった。寮付近では警察まで出動する騒ぎとなったが、最後まで大学関係者は現れなかった。

 国内有数の学生を預かり、トップクラスの私学助成金も受けている教育機関。本当に守るべきなのは誰なのか。しっかりと考えてほしいと思う。(デイリースポーツ)

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