【野球】剛速球で鮮烈デビューの広島2年目・長井 レベルアップして1軍帰り咲きへ
無念の2軍降格となったが、1軍で貴重な経験を積んだ。広島の2年目・長井良太投手(19)のデビューはあまりに鮮烈だった。4日ヤクルト戦。0-8の八回、2死走者なしの場面でプロ初登板。雄平と真っ向勝負し、自慢の直球で二ゴロに打ち取った。わずか、1アウト。それでも、自己最速154キロという数字で、十分すぎるインパクトを与えた。
登板2試合目の15日・中日戦は1回2安打2失点。2者連続押し出しを含む3四球を与えるなど、課題を露呈した。だが、ファームを含めてプロ初の連投に臨んだ翌16日の同戦では苦い記憶をすぐさま払拭。1イニングを無安打無失点に抑え、リベンジに成功した。
「持ち味の真っすぐは1イニングを投げても詰まった打球やフライが多かった。自分の真っすぐが通用しているのかなと思います。そういうところは収穫です。課題は真っすぐと変化球のコントロール。配球も自分で考えないといけない」
1軍を経験した長井の率直な感想だ。変化球はスライダー、カーブ、フォークを操り、オープン戦の頃より精度は向上した。だが、中日のアルモンテには151キロを軽々とセンターオーバーとされるなど1軍打者のレベルを肌で実感。こだわるのは直球のスピード以上に質。制球力という課題も明確となった。
ライバル2人の存在も成長の糧となっている。アドゥワと高橋昂は高卒2年目の同期。開幕直後は長井だけが2軍スタートだった。2人が1軍で活躍する姿を見て「すごい」と羨望のまなざしを送る一方、「悔しい」という思いも交錯して複雑な心境だったという。
中でも高橋昂は高校時代から意識する存在だ。母校のつくば秀英は花咲徳栄と毎年練習試合を行う。実際に投げ合ったこともあるという。「ドラフトで一緒のチームになって驚きました」。今では仲間だが、ライバルを聞かれると、迷わず高橋昂の名前を挙げる。
「外国人選手ともっと対戦したい。自分の真っすぐがどれくらい通用するのか楽しみ」
長井は目をキラキラと輝かせる。まだ高卒2年目。もっともっとレベルアップして1軍返り咲きを目指す。(デイリースポーツ・杉原史恭)