【野球】ヤクルト中継ぎ陣で奮闘の若手“肝っ玉コンビ”中尾&風張

 マウンドさばきは気持ちがいい。最下位と苦しむヤクルトで、思い切りのよさを前面に出した若手中継ぎコンビが奮闘している。大卒2年目の中尾輝投手と同4年目の風張蓮投手だ。

 中尾は4月8日の巨人戦でプロ初勝利をマーク。11試合連続無失点など、交流戦前までに21試合に登板し、3勝1敗3ホールド、防御率2・78の成績を残し、勝ちパターンの一角に定着した。

 新人だった昨季の登板は2試合のみ。成長の要因となる変化については「思い切って腕を振ることを考えています」と答えた。140キロ台中盤の速球とスライダーが武器の左腕。制球などを気にして腕が緩み、スライダーを痛打される課題を克服しようと取り組んできた。

 1日の中日戦。田畑投手コーチには印象的なやりとりがあったという。アルモンテに内角直球を右翼へ適時二塁打された後、狙ったのと違うコースだったのかを問うと、中尾は「とにかく腕を振ろうと思ったので、覚えていません」。結果は適時打だったが、臆病風など無縁の返答に、田畑コーチは「頼もしいと思ったよ」と感心したそうだ。

 その後、11、12日のDeNA戦では、気後れせず筒香やロペスを封じて連日のホールドをマーク。1軍は実質1年目なだけに「今はまだ、そうやって経験を積んでいけばいい」と勢いを尊重している。

 風張は中尾より1日早い4月7日の巨人戦でプロ初勝利を挙げるなど、交流戦前まで18試合で1勝1敗。防御率こそ25日のDeNA戦で3失点して4・57となったが、僅差での登板が多い。

 こちらも評価されているのは、マウンドでの堂々とした立ち居振る舞いだ。先輩の坂口からは冗談交じりに「タクヤ」と呼ばれる。落ち着き払った態度が、あの木村拓哉ばりの“男前ぶり”だというのが由来とか。恵まれた体から150キロ近い直球を投じて打者をねじ伏せにかかる姿は迫力十分だ。

 昨季までの登板は通算10試合。風張は「球の勢いも含めて、去年からいい感覚はあった」と話す。今季は投げっぷりの良さはそのままに「気持ちは高ぶっても、1球1球投げる前にイメージを確認している」と冷静に準備できるようになった。

 年齢が近い2人は、食事に出掛けることもしばしば。中尾は「去年は風張さんとも『来年こそは』と話していた」と明かす。風張も「仲がいいし、意識がないわけじゃない。切磋琢磨(せっさたくま)というか、向こうが抑えたら、自分の方がいいピッチングをしようと思います」と良きライバル関係にあることを認めた。中尾が名古屋経大、風張は東農大北海道オホーツクと、ともに地方大学出身という共通点もある。

 田畑投手コーチは「中継ぎは本当によくやってくれている。今年出てきた若いのも、頑張っているよ」と“肝っ玉コンビ”に期待を込める。

 経験を積みながら結果を残し、いずれは投手陣の中核を担う存在へ。「今はいけるところまでいきたい」(風張)と前だけを見て腕を振れば、飛躍のシーズンが待っているはずだ。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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