【スポーツ】新大関昇進の栃ノ心、横綱になれる可能性は…

 大相撲の新大関昇進が決まった栃ノ心(30)=春日野部屋=は、近い将来横綱になれるのか。大関昇進条件は三役で直近3場所の白星合計33勝が目安とされるが、栃ノ心は37勝とハイレベルでの昇進。右ひざの古傷の状態次第ではあるが、実力、勢いは十分で、問題があるとすれば年齢が30歳と遅咲きの大関という点。同じく30歳で大関に上がった陸奥親方(元大関霧島=デイリースポーツ評論家)をはじめ有力親方に意見を聞いた。

 陸奥親方が30歳で大関に昇進した当時、“和製ヘラクレス”と呼ばれた鋼の体にも、衰えの兆しはあったのだろうか。

 「当時の自分を振り返ってみると、40歳、50歳になっても相撲を取れる自信がありましたが、体力はちょっとずつ落ちてきていたし、見えないところで疲れが出ていた。栃ノ心が同じとは限らないが、まずはしっかりと体のケアをして、それをためないようにすることが大事ですね」

 体の手入れがしっかりできているという前提で、陸奥親方は栃ノ心が横綱に昇進する可能性を否定しなかった。

 「大関になる以上は可能性はあるでしょう。ただ、夏場所の13、14日目に連敗した時のような、相手を引っ張り込む相撲を取っていては難しい。やはり右差し左上手という自分の形を作ることが大事。そのためには立ち合いの踏み込みが絶対に必要だし、左上手を取っても、相手が右下手を使えないように取らないと。でも、以前に比べて上手の位置がまわしの浅いところを取るようになっているのはいいね。浅いところを取れば、相手の体をコントロールできるし前へ攻めていける。この点は進化していると思いますよ」

 陸奥親方は横綱を目指す上で心掛ける点として、不断の努力を挙げた。

 「私は横綱になっていないから、分かったようなことは言えないが、私は人のいないところで努力した。稽古場で頑張るのは当たり前。誰もいないところで四股を踏んだり、テッポウを繰り返す。これが大事だと思います」

 武蔵川親方(元横綱武蔵丸=デイリースポーツ評論家)は立ち合いの改善が必要だという。

 武蔵川親方「栃ノ心は右四つに組んだら力を出せるよ。でも、組むまでの相撲が雑だな。そこが課題。もともと腰高だから、組むまでは体勢を低くして我慢すればいいんだ。具体的にはへそを隠して、つまり背中を丸めてアゴを引いてへそを下に向ける。これができるようになれば、右四つになりやすいから、きっと大関になっても活躍できるよ」

 取り組みに土俵下から厳しい視線を送っている審判部の藤島副部長(元大関武双山)は夏場所で白鵬を右四つで破った一番の後、現時点で幕内“最強”との見解を口にした。

 「大関獲りどころか横綱相撲ですよね。もともと右四つの型があって、上手を取った時の強さがあった。攻めが厳しいし、一番強いんじゃないか。白鵬に右四つがっぷりで勝ったんですから」

 最後に師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)は愛弟子の“長寿”を期待してこう話す。

 「自分の経験から言っても30歳は一番力が出る。経験値、度胸がつく年齢だし、慣れも積み重なっていく。体を見ても分かるだろうけど、全然落ちた感じはしない。10年やれると言っているのは、まんざらウソじゃない」

 注目の名古屋場所は7月8日が初日。栃ノ心は綱への足掛かりを築けるか-。(デイリースポーツ・松本一之)

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