【野球】ロッテ井上晴哉、春男から「夏男」へ通年の活躍誓う「謙虚になることが一番」
「謙虚になることが一番です」
これはロッテ・井上晴哉内野手(28)が最近、しばしば口にする言葉だ。
身長180センチ、体重114キロで、プロ5年目。「アジャ」の愛称で親しまれている井上が今季、飛躍を遂げようとしている。
プロ1年目の14年から和製大砲として期待されてきた。実際、その年の開幕戦(対ソフトバンク)で、ロッテとして64年ぶりの新人による開幕4番としてスタメン出場した。
だが、期待に応えられず伸び悩み、「春男」と呼ばれた。
3、4月は好調なのだが、5月の声を聞き始めると尻すぼみになり、いつの間にかファームに落ちていた。
これがパターンで、過去4年の出場試合数を見ると、14年・36、15年・5、16年・35、17年・35である。
しかし、今季はすでに45試合に出場。角中がケガから復帰するまで4番に座った。今季の成績は5本塁打、打点29(29日現在)で、もちろんもう6月だが、1軍の試合に出場し続けている。
「今年は調子の波がそんなにない。(試合の)打席に入って毎回意識して課題を見つけてやっている」。
ギンギラギンのパワーはあっても、さりげないテクニックに欠けていた。今季は1軍での試合出場を続ける中で工夫と研究を重ねている。
打撃練習でもコンパクトに鋭く振ることを心がけている。決して大振りしない。
井上は「強引にならないことです」と話す。パワーだけに頼らず、いかにボールを捉えるかに注意を払う。
今季は身体のケアにもこれまで以上に気を遣っている。シーズン中もウエートトレ、筋トレを欠かさない。
「どうしても体重から下半身にバテがくるのでバランスを考えながらやっています」
だが、好調キープの要因はいろいろあるが、最も大きいのは井口監督が黙って起用をしていることだろう。
球団関係者は「今年は1軍にずっといるからね。これまでは調子が少しでも悪くなるとすぐに(2軍に)落とされていた」と語っている。
和製大砲と期待される反面、それがプレッシャーとなった。結果を追い求めて悪循環に陥った。
精神的なゆとりとともに、本来の実力が少しずつ花開いてきたのだろう。
「春男」を返上かの周囲の評価に井上はこう話す。「それはボクが判断することではないので」
起用されることに感謝しつつ、自分を過信しない。「謙虚になることが一番です」。
夏本番はもう目の前だ。「夏男」の井上が見たい。(デイリースポーツ・菊地順一)