【野球】日本ハム・上沢、大谷の穴埋める新エースへ 進化した“魔球”武器に

 今年の日本ハム・上沢直之投手(24)はひと味違う。11試合に先発登板して6勝2敗、リーグ2位の防御率2・30(15日現在)。米大リーグ・エンゼルスに移籍した大谷翔平の穴を埋め、新エースの道をひた走る活躍だ。

 成長著しい右腕には進化を印象付ける一つの数字がある。リーグ3位の58奪三振(15日現在)。スピンの効いた自慢の直球に加え、多彩な変化球で打者を幻惑。そして、最も自信のある高速フォークで息の根を止める。

 「去年のシーズンから状態が良くなってきました」と言う同球種は、特に初対戦の相手にとって魔球だ。常時140キロ台中盤の真っすぐに引けを取らない、右腕のフォークは140キロを超える。「直球を投げる時より強く腕を振る意識で投げます」。象徴的なシーンが13日・阪神戦(札幌ドーム)で起こった。

 1点リードで迎えた四回。先頭の福留に対してカウント2-2と追い込み、ストレートで攻め立てた。ファウルで粘られ、9球目。バッテリーが選択したのは143キロの高速フォーク。真ん中から鋭く落ちる変化球にバットは空を切り、百戦錬磨のベテランは困惑の表情。真っすぐのイメージで振りにいった球は、ほぼ同じスピードの特殊球だったのだ。

 「ボールを深く指に挟んで投げるんですけど、だんだんスピードが上がってきた感じです。一つ、僕にとっては大きなボールになっています」

 16年3月に「右肘関節滑膜ヒダ除去手術」を受け、1軍戦登板ゼロに終わった同年のオフには減額制限を超える大減俸を経験。復活した17年も4勝9敗と大きく負け越し、今季に懸ける気持ちは相当強かった。

 公私ともに親交が深かった弟分の大谷が海を渡り、先発陣の柱だった有原は不調。現在の先発ローテは新助っ人のマルティネスと、上沢が中心となって支えている。吉井投手コーチも「横から見ていても何を投げているか分からない。浮いたら打たれるもろ刃の剣だけど、低めにいけば彼の大きな武器になりますね」と魔球が持つ可能性に期待し、さらなる飛躍を願っている。

 次回は26日・ソフトバンク戦(那覇)に向かう見通し。上沢は「求められるものが高くなってきていると思います」と自覚十分。エースの称号を得る日はそう遠くないだろう。(デイリースポーツ・中野雄太)

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