【野球】ついに球団新記録!オリックスが12球団唯一完投0の理由
オリックスにとって今季65試合目となった17日のDeNA戦(京セラドーム大阪)。最後を締めたのは3番手・岸田だった。
ついに球団記録を更新した。12球団で唯一、開幕からチームの完投数0が続いてきたが、これまで最長だった2014年の64試合を抜いた。
チーム防御率はリーグトップの3・47。にもかかわらずなぜ、完投がないのか。高山投手コーチに聞いた。
「勝つためにやっていますから。理想は先発投手が完投すること。できれば週に3人くらい出てきてほしい。現実はそうじゃない。勝つ確率の高い方法をとります。それは目の前のゲームだけじゃない。シーズン全体を見渡して考えなければならない」
勝つための最善の策。特にシーズン序盤は打線の援護がなく、少ない得点を守り抜く野球を強いられてきた。加えて盤石のブルペンを形成できたことも大きい。
守護神・増井はリーグトップの18セーブ、八回を任されるセットアッパーの山本が17ホールドポイント(HP)でリーグトップに君臨すれば、七回の黒木も3位タイの14HP。ほかにチーム最多の30試合登板の吉田一は防御率1・95、ビハインドでの出番が多い近藤は昨季のセットアッパーとコマがそろう。
タレント豊富なブルペン陣をフル活動させているのかといえば違う。
例えば増井は3連投まで、高卒2年目の山本に至っては2連投までと決めている。
高山コーチは「ブルペンで“あがり”の投手をつくるということは、(その試合は)厳しい戦いを強いられるということ。それでも長いシーズンを考えて、なるべく最後までみんなが投げられるようにしたいと思っている」と話す。
違う見方もある。完投0ということは先発陣が弱いのでは?
これは数字が否定する。今季ここまで先発起用された投手はわずかに7人。開幕投手を務めた西、金子、山岡、ディクソン、新外国人アルバース、ドラフト1位・田嶋(JR東日本)のローテーション投手6人に5月25日のロッテ戦で松葉が1度起用されただけだ。
当然、先発陣にもプライドがある。西は「僕はいつも完投したいと思ってマウンドに上がっている」と言う。
開幕から完投0のプロ野球記録は04年、日本ハムの82試合がある。
高山コーチは「得点差だったり、球数だったり、条件がそろえばもちろん完投してもらうケースもある。われわれは勝つためにやっている。われわれの評価というのはシーズンが終わっての成績なんです」と言い切った。
現在、パ・リーグ3位。首位西武とは4ゲーム差。快進撃を続けるオリックスに完投へのこだわりはない。(デイリースポーツ・達野淳司)